beacon

[戦評][全日本ユース選手権]潰し合いを打開した流経柏(流通経済大柏高vs青森山田高)

このエントリーをはてなブックマークに追加
[09.24 高円宮杯第18回全日本ユース(U-18)選手権大会準々決勝 流通経済大柏高 4-1 青森山田高 秋津]
 
 高校チーム同士の対戦は、序盤から球際での激しいプレーが目立つ熱い戦いとなった。警告こそ計5枚で特別多くはなかったものの、相手選手が吹っ飛ぶような激しいチャージが何度も見られる乱戦模様。特に青森山田高は前線からのプレッシャーが厳しく、決勝トーナメント1回戦で優勝候補の磐田ユースを破って勝ち上がってきた流通経済大柏高もなかなか攻撃リズムがつくれない。ただ、2試合連続4得点の青森山田高攻撃陣も相手のダブルボランチと両センターバックにFW佐々木絢也と岩崎晃也の2トップが消されてシュートまで持ち込めなかった。
 両チームともに得点の予感すら抱かせなかった試合を動かしたのは、流通経済大柏高だった。前半27分、ゴール正面で得たFKを全国高校総体得点王のFW大前元紀が右足でゴールへねじ込む。1点を取って楽になったか、そこからは大前の個人技やダイレクトパスの連続、そしてボールを奪ってからゴールへ一直線へ向かう鋭いカウンターで相手の堅守を打開。得点を重ねていった。大前は「今は手ごたえがある。(今大会は)毎試合2点以上取れているので、いけるという気持ちがあった」と胸を張った。
 流通経済大柏高は今年の全日本大学トーナメント優勝の流通経済大と毎週練習試合を行い、JFLに参加しているチームに今年は勝つこともあるという。プレッシャーの早い相手との戦い、自分たち以上のフィジカルを持つ相手との戦いは慣れたもの。練習でもドリブルや1対1の練習よりもダイレクトパスなどに時間は割かれ、そこでプレッシャーを打開する技術を身につけた。一方で個人技のレベルも相手を上回り、3点の差へと結び付けた。
 決勝トーナメント1回戦と準々決勝は本田裕一郎監督が不在。この日、指揮を執った榎本雅大コーチは「(準決勝までは)選手が大丈夫ですよ、と。だから監督を国立へ、と気合入っていたと思う」。闘志十分の戦いで準決勝進出を決めた流通経済大柏高は今大会1次ラウンドから唯一の全勝。「それまで全国で勝ったことがなかったけど、自信をつかめた」と大前が口にした全国総体での4強以上の勢いと自信が今はある。
 
(取材・文 吉田太郎)

TOP