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[戦評][全日本ユース選手権]4-3-3の布陣に感じた疑問(浦和ユースvs流通経済大柏高)

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[10.06 高円宮杯第18回全日本ユース(U-18)選手権大会準決勝 浦和ユース 1-4 流通経済大柏高 国立競技場]

田村修一の「視点」 
 
 内容的に差のない試合だったが、流通経済大柏高には勝負強さと粘り強さがあった。そして、浦和ユースのスペースの隙間を埋めるようにパスをつないで攻める技術の高さもあった。特に後半はその技術を存分に生かし、相手を崩して2得点。1点差に詰め寄られても、プレッシャーの早い守備でボールを奪い、いい形でボールを動かして攻めきっていた。
 一方の浦和ユースはフィジカルの強さで優位に立っていたが、パスのリズムが悪く、いい形の攻めができなかった。あと1点感じたことは、浦和ユースが採用していた4-3-3の布陣に対する疑問だ。第1試合の名古屋U-18も同じだったが、浦和ユースは中盤の3選手を逆三角形に配置する4-3-3のシステムを敷いていた。これは中盤でボールを支配した上にウイングの突破力も生かして攻める非常に攻撃的なシステム。強いウイングがいなければ、意味がないし、守る試合をするのであっても意味がない。攻めから守りへの切り替えの早さ、そして攻撃の選手の強さもスゴク要求される。だが、浦和ユースにしても、名古屋U-18にしても4-3-3で戦っていた間は劣勢で、試合途中に4-4-2へ布陣を変更してからともにバランスは良くなった。ウイングの質が足りなかったり、やや守備的だったりで、どちらも4-3-3を使い切れていない印象を受けた。
 4-3-3を採用するチームは全国的に増えているようだが、高校年代のトップレベルのチームでさえも使い切れていないことを考えると、日本のサッカーとして改善の余地があるのかもしれない、と感じた。

(取材・フットボールアナリスト田村修一)

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