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Jを目指せ! by 木次成夫

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第109回「JFL後期15節ファジアーノ岡山“快勝”&栃木“4位以内確定”」
by 木次成夫

[11月16日 JFL後期第15節]
栃木SC 6-1 アルテ高崎

 前日(15日)に、ガイナーレ鳥取と横河武蔵野が敗れたため、栃木は「勝てば4位以内(Jリーグ参入圏内)確定」という状況でした。そして、結果は圧勝。相手が17位に低迷している上に、いわば“イケイケ”攻撃サッカーのアルテゆえ、栃木攻撃陣の魅力が存分に発揮された試合でした。そして、試合後、電光掲示板には、「歴史的瞬間」という文字が(写真上)――。

 とはいえ、観衆は……4490人(公式発表)。同じ日に行われたカターレ富山対SAGAWA SHIGAの4090人をしのいで同節トップですが、例えば、昨季の開幕戦には1万人以上が集まったクラブとしては少ない、という印象でした。17時キックオフ、時折、小雨まじりの天候も影響したのでしょう。無料招待券数も関係しているのでしょう。

 また、この日、栃木県では栃木県知事選挙、宇都宮市長選挙も、ありました。キックオフを一般的な13時ではなく、17時にしたのは、ホームのグリーン・スタジアム周辺で「宇都宮マラソンが開催された関係もあったとか。

 事情は理解しつつも、栃木はJリーグから「クラブ経営改善」を指摘されている状況ですから、自治体関係者、サッカー関係者らを含め、多くのファンが観戦に訪れることで「県民の思い」を“もっと”アピールしてほしかったです。強いチームを作ることも難しいが、人気のあるチームを作ることは“もっと”難しいということなのかもしれませんが……。

 例えば、全国高校選手権栃木県予選決勝が行われた15日(土)に開催する策もあったのではないか、と思いました。つまり、アルテ戦を第2試合にすれば、応援に訪れた生徒を含めて多くの高校生も「歴史的瞬間」に立ち会えたわけですし、彼らの夢にも“つながった”のでは? 有望学生の“受け皿”(栃木SC)が発展している状況は、教育関係者にとっても幸いでは? ましてや、栃木SCは“教員チーム”から発展したクラブですから、“横の関係”を生かすこともできたのでは?

 そもそも、試合日程調整を含めて、自治体の協力(支援)は、スタジアム改装(あるいは新設)などハード面で多額の金を使うことだけではないのでは? 例えば――、

●スポーツ以外のイベント関係者(芸術、芸能、産業)などとも協力し合って、例えば北海道物産展の期間と栃木対コンサドーレが“かぶる”ようにする。

 言い方をかえると、現状では、様々な分野の関係者が客(ファン)を奪い合っている面もあると思います。なぜ、購買、飲食、そしてエンターテインメントを複合した郊外の大型商業施設のような手法をサッカーにも持ち込めないのか? 1日でいろいろ楽しめるような環境作りという意味です。

●グリーン・スタジアム内で火器を使って調理できるようにする(以前にも書きましたが)。

 同スタジアムは工業団地内にあるため、スタジアム・グルメは大問題。今季途中から、餃子など“暖かい食べ物”も販売されるようになったと知り、期待して見に行くと……、小型の電熱機器で調理していました(「最新NEWS」を御覧ください)。これでは、調理に時間がかかる上に、数も限られます。そもそも、スタジアム内で飲食品売り場は、一カ所だけ。ファンにとっても、販売業者の方にとっても、不本意だと思います。

 また、時にはJFA(日本サッカー協会)に異をとなえることも重要では? 例えば、栃木には関係なくなるかもしれませんが、存在価値があるとは“あまり”思えない、国民体育大会青年種目を廃止(あるいは、出場辞退)すれば、最低でも週末が「2回」空きます。つまり、天皇杯日程の関係で、栃木がガイナーレと平日に試合をせざるをえなくなったような事態は避けられます。

[11月15日 JFL後期第15節]
横河武蔵野 1-3 ファジアーノ岡山

 前半は拮抗した展開ながらも、どちらかというと武蔵野ペース。中盤のプレッシングが効き、ファジアーノは持ち前のパス“散らし”が、できませんでした。しかし、後半52分の選手交代を機に、ファジアーノのリズムに――。

<選手交代>
左SB尾崎雄二(23歳=今季加入、前・桃山学院大学)→MF妹尾隆祐(22歳=今季加入、前・大阪学院大学)

<ポジション・チェンジ>
左MF関隆倫(27歳=今季途中加入、前tonan前橋、元・札幌など)→ボランチ
ボランチ玉林睦実(24歳、前・吉備国際大学)→左SB
妹尾→右MF
右MF川原周剛(28歳、前・三菱水島)→左MF

 関がボランチに下がった結果、中盤での競り合いで優勢に転じ、前半はパス出し前に“つぶされる”ことが多々あった“もう1人の”ボランチ小野雄平(23歳、前・徳島=東京Vからのレンタル)も持ち味のパス・センスを発揮。となれば、妹尾、玉林、川原のサイドアタックも活きるわけで……、これほど采配が当たる試合も稀だと感じるほどの結末でした。

 中でも印象的だった選手は、昨季から主将を務める川原。岡山県倉敷市生まれで、県内有数の名門=玉野光南高校→福岡大学→三菱水島FC→ファジ(今季で3シーズン目)。武蔵野戦は直接FKで1得点決めた上に、他2得点にも“からむ”大活躍。「Jを目指すクラブ」の存在価値を体現する「見本的存在」といっても過言ではないと思いました。

 ちなみにこの試合、ファジアーノは「プレッシャーもあったのだろうが、ウォーミングアップ時から動きが鈍く、ほぐれるのに時間がかかった」(手塚聡監督)ということですが、実は、バスではなく、飛行機での移動でした。つまり、試合後半の健闘は、限られた予算の中での“クラブ側の英断”も大きな要因だったのでしょう。

 クラブ運営は様々ですが、あまり無理をしない経営スタイルは、今後“大不況下”の中で「Jを目指すクラブ」の見本にも、なりえると思います。

 残り2試合。15節終了時点の順位と、今後の「4位以内」に関わる対戦カードは以下の通りです。

優勝=Honda(勝ち点70)
2位=栃木(同61)
3位=カターレ(同58、+24)
4位=ファジ(同58、+20)
5位=ガイナーレ(同54、+18)
6位=武蔵野(同53、+10)


16節
11月23日(日)
ファジ対栃木
ニューウェーブ北九州(9位)対武蔵野
MIOびわこ草津(14位)対カターレ

11月24日(月)
ガイナーレ対TDK(13位)

17節(11月30日)
カターレ対ファジ
武蔵野対FC琉球
栃木対刈谷
流通経済大学対ガイナーレ

 ガイナーレは厳しい状況になりました。ただ、試合結果に関わらず、ニューウェーブ、MIOを含めて「Jを目指すクラブ」には、それぞれ史上最高の観客動員を実現してほしいです。近年にJ2参入を果たしたクラブを焦らせるくらいに――。

次回、次々回は全国地域リーグ決勝サッカー大会を速報含めて更新予定です。試合日程

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※本コラムは毎週火曜日更新予定です。ぜひ感想やあなたの地元クラブの情報をこちらまでお寄せください。

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