beacon

10人で奇跡起こした横浜FM、0-1→3-1→3-3大激闘の末にPK戦でクラブ史上初のACL決勝進出!!

このエントリーをはてなブックマークに追加

全得点を叩き出したMF植中朝日とFWアンデルソン・ロペス

[4.24 ACL準決勝第2戦 横浜FM 3-2(PK5-4) 蔚山現代 日産ス]

 AFCチャンピオンズリーグは24日、東地区準決勝第2戦を行い、日本勢で唯一勝ち残っている横浜F・マリノス蔚山現代(韓国)にPK戦で勝利し、クラブ史上初の決勝進出を決めた。前半30分までにFW植中朝日の2ゴールなどで3点を奪い、初戦のビハインドをひっくり返したが、同35分にセットプレーから1点を返されると、同39分にDF上島拓巳の一発退場に伴うPKで失点。だが、その後は80分間以上を10人で耐え抜き、最後は2戦合計スコア3-3で迎えたPK戦に勝ち切った。

 第1戦を0-1で落とした横浜FMは逆転の望みをかけるホームでの第2戦。左ウイングのFWエウベルが負傷から復帰し、久々にFWアンデルソン・ロペス、FWヤン・マテウスとの3トップが揃った。対する蔚山現代はMF江坂任がベンチに控える中、第1戦と先発1人を変更。MFコ・サンボムに代わってMFマテウス・サレスが入った。[スタメン&布陣]

 試合は2点が必要な横浜FMが立ち上がりから猛攻を仕掛けた。まずは前半7分、GKポープ・ウィリアムのパントキックにエウベルが抜け出し、鋭いクロスボールをロペスに通す。これは濡れたピッチの影響かうまく収まらなかったが、同9分にはヤン・マテウスのボール奪取からパスをつなぎ、またもロペスのチャンスにつなげた。

 そうして迎えた前半13分、横浜FMが先に試合を動かした。上島の縦パスを植中が受けて右のヤン・マテウスに預けると、クロスボールからゴール前の混戦を生み出し、そこに植中が猛然と突進。相手のクリアが間に合わないうちにボールをかっさらい、右足でゴールに流し込んだ。これで2戦合計1-1。アウェーゴールの制度はないため、ホームで戦う横浜FMが事実上優位に立った。

 横浜FMはその後も攻め続け、なおも得点を重ねた。まずは前半21分、エウベル、ヤン・マテウスのポジションを崩したパス回しからバイタルエリアを侵攻すると、クサビのパスを受けたロペスが左足一閃。ゴール右隅にグラウンダーのシュートを突き刺し、2試合合計スコアで2-1とひっくり返した。

 さらに横浜FMは前半30分、出足よくインターセプトした畠中がすかさずボールを縦につけると、これをMFナム・テヒがワンタッチでさばき、受けた植中がペナルティアーク付近から右足ミドルシュート。ゴール右上隅に完璧な弾道で突き刺し、2戦合計スコアを2点リードとした。

 まさかのビハインドとなった蔚山現代は前半34分、ボランチのMFイ・ギュソンに代わってMFダリヤン・ボヤニッチを投入。中盤の強度不足を補う。するとそこからはボールを前進できるようになり、同35分には右CKをボヤニッチがゴール前に送り込むと、これをM・サレスがヘディングで決めて1点を返した。

 そうして迎えた前半39分、防戦気味になっていた横浜FMをまさかのアクシデントが襲った。中盤で刈り取れずに蔚山現代のカウンター攻撃を許すと、エリア内で止めに入った上島のスライディングが不発に終わり、FWオム・ウォンサンのドリブルしたボールが手に接触。蔚山にPKが与えられ、上島にはDOGSO(決定的な得点機会の阻止)による一発レッドカードが出された。

 2024-25シーズンからは偶発的なハンドでDOGSOの反則を犯した場合、キッキングなどの反則と同様にイエローカードに軽減される新ルールの導入が予定されているが、ACLは23-24シーズンの規則で実施中のためレッドカードは妥当な判定。不運な形で横浜FMは10人での戦いを強いられる形となり、さらにこのPKをボヤニッチに決められ、2戦合計スコアで3-3とされた。

 10人の横浜FMはその時点での選手交代は行わず、DF松原健と右CB、MF榊原彗悟を右SBに動かして対応。そのまま前半を耐え抜き、後半開始時にナム・テヒとエウベルに代わり、DFエドゥアルドとMF山根陸を投入し、4-3-2のような布陣で勝機をうかがう作戦に出た。

 そうして迎えた後半2分、横浜FMは蔚山現代の猛攻に遭い、左サイドをDFソル・ヨンウに崩されると、マイナス方向への折り返しをボヤニッチに叩き込まれる。だが、そこでVARが介入。ボヤニッチのシュート時点でオフサイドポジションにいたMFグスタフ・ルドウィグソンがGKポープに影響を与えていたとして、オフサイドの判定が下され、命拾いとなった。

 対する横浜FMも攻撃姿勢は失わず、後半18分にはロペスのポストプレーからビッグチャンスを創出。DF永戸勝也のクロスボールにヤン・マテウスが飛び込み、ヘディングシュートでネットを揺らした。だが、ここは副審がオフサイドの判定。双方ともに後半最初の決定機を逃す際どいオフサイドで逃す形となった。

 その後も横浜FMは押し込まれる展開が続いたが、GKポープやDF畠中槙之輔らの守備陣が鬼気迫る奮闘を見せ、ゴールポストに当たるシュートを放たれながらも勝ち越しを許さない。そのまま2戦合計スコア3-3で規定の90分間を終え、10人のまま延長戦に持ち込んだ。

 横浜FMは延長前半2分、DFキム・ヨングォンのミドルシュートが枠内を襲ってくるも、これもGKポープが危なげなくパンチング。同10分にはDFイ・ミョンジェの浮き球スルーパスからFWケルヴィンに抜け出されたが、エドゥアルドが冷静なシュートブロックで立ちはだかった。

 横浜FMは延長前半15分、永戸に代わってMF天野純を投入。古巣の蔚山現代サポーターからはブーイングが送られる中でのフィールドインとなった。そこからは足が止まりつつある蔚山現代に対し、攻める横浜FM。延長後半3分、カウンターからのMF水沼宏太のシュートは左ポストに阻まれたが、直後にも右からのクロスをFW宮市亮がボレーで合わせるなど、惜しいシーンが相次いだ。

 横浜FMは延長後半11分、CKの波状攻撃からMFキム・ミヌゴールに押し込まれたかと思われたが、再びオフサイドで命拾い。同14分にもセットプレーからキム・ミヌに左足ボレーシュートを打たれたが、わずかに右へと外れ、助かった。そのまま規定の120分間が終了。80分間以上を10人で耐え抜いた横浜FMがPK戦に持ち込んだ。

 PK戦は横浜FMのサポーターが陣取るゴール前で行われた。蔚山現代は1人目から成功が続く中、横浜FMもロペス、水沼、松原、天野が決め、勝敗が分かれたのは5人目。先攻の蔚山現代キム・ミヌのキックをポープがセーブすると、後攻でエドゥアルドが決め、横浜FMの勝利が決まった。

 決勝はアルアイン(UAE)との対戦。5月11日にホームで第1戦、25日にアウェーで第2戦が行われる。

(取材・文 竹内達也)

★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●ACL2023-24特集
●2024シーズンJリーグ特集

竹内達也
Text by 竹内達也

TOP