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[MOM1088]JFAアカデミー福島U18DF高森大夢(3年)_ペースばん回の立役者は、籠城拒否の左DF

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.28 日本クラブユース選手権決勝トーナメント1回戦 JFAアカデミー福島U18 1-0 大分U-18 宮城総合]

 耐えるだけでは限界が来る。序盤、大分U-18の猛攻にさらされたJFAアカデミー福島U18は、攻撃の選択肢を失っていた。自陣ゴール前でボールを奪っても、すぐにプレッシャーをかけられてしまい、パスをつないで押し返すことができない。前線では浜田力がどうにかロングパスに競り勝って起点を作ろうとしていたが、孤立した状況では難しかった。我慢をして守備をしなければならないが、ジリ貧に陥っても勝機を逸する――。

 そんな難局でいわば籠城を拒否してチームに希望の光を与えたのは、左DF高森大夢(3年)だった。19分、左サイドを持ち上がるとアーリークロスでチームの初決定機を演出。大分U-18のワンサイドゲームになりかけていた試合に「JFAアカデミー福島にも一発がある」という雰囲気を作り出した。27分にもクロスで好機を作り出した。高森は「厳しい時間だったけど、自分たちの時間も来ると信じていた。前に大きなスペースがあったので、そこを使えるんじゃないかとずっと(攻撃の)準備をしていた」と反撃のきっかけを狙い続けていた。超攻撃的な左SBを理想とする高森の姿勢は、相手へのけん制として有効だった。セットプレーでもキッカーを務めるレフティーの一発は脅威。中田康人監督も「相手の右DFの6番の選手(山崎誠也)は、もっと攻撃参加をするタイプだと思うから、多少は効いていたのかもしれませんね」と、高森が示した存在感を認めた。

 高森は、ある種の開き直りから攻撃的な特長を発揮している。「まずは守備が大事」と一応は言うものの「守備はCBの金城ジャスティン俊樹たちにカバーしてもらっているので、もう少し頑張らないといけない」(高森)というのが現状だ。守備に課題を持っている。しかし、だからこそ「大分は、グループリーグで(実績がある)東京Vにも勝っていて勢いがあるんじゃないかと思った。相手がやって来るから、こっちもやらなアカンと思った。僕はサイドハーフがボールを持ったときに、追い越して攻撃参加をするのが武器。引いたら絶対にやられちゃうので、強い相手でもとりあえず積極的に攻撃を仕掛ける」と持ち味を発揮することで相手を押し返し、苦手分野の守備を軽減してしまおうという魂胆も持っている。

 ただ、今大会では中田監督が「どうしちゃったんですかね。普段は弱々しさが目立つ選手だけど、この大会に入ってからは行ったり来たりの(上下動の)運動量が多くなった。アカデミーにありがちな(弱点である)敵の前に行くだけの『なんちゃってディフェンス』をやる代表格みたいな選手なのに、それが球際で厳しく行けるようにもなってきた」と首をかしげるほど守備でも貢献しており、延長後半の終わり際には、相手CKとなりそうなルーズボールを必死に追って、スライディングでかき出してスローインにするという泥臭い守備も見せた。

 大会が始まってから、これまで見せていなかった能力を開花させている高森は「ヘディングが苦手なのに、今日は当たっていた。いけるんちゃうかと思った」と、まさに覚醒中だ。目指す位置も自然と高まる。「まだ遠いけど、(優勝が)見えてきたので狙っていきたい。やっていくうちに欲が大きくなってくる。チームの雰囲気も良くて、次、次という気持ちになっていく」とプレー同様に前がかりな姿勢を見せた。チームがさらに前へ進むために、レフティーは攻撃力を見せ続ける。

(取材・文 平野貴也)
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