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[クラブユース選手権(U-18)]「守ってカウンター」貫き後半2発!粘り強く、耐えた甲府U-18が川崎F U-18撃破!

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[7.23 日本クラブユース選手権(U-18)GS第2節 川崎F U-18 1-2 甲府U-18 前橋総合]

 23日、日本クラブユース選手権(U-18)グループステージ第2戦が群馬県内各地で開催された。Hグループでは、川崎フロンターレU-18(神奈川)とヴァンフォーレ甲府U-18(山梨)が対戦。ボールを支配しながら攻める川崎Fに対し、5バックで粘り強く耐える甲府というトップチームの対戦を彷彿とさせる、明確なコントラストが描かれるゲームとなった。

 立ち上がりからボール支配率で上回ったのは川崎F。ただ、これは甲府にとって想定内。試合前に選手たちと「どういう形で戦うか話し合った」という小佐野一輝監督の選択はディフェンスを重視したG大阪との第1戦の戦術を継続することだった。「守ってカウンター」(同監督)というゲームプランは、シンプルであるがゆえに選手間での明確な意思統一につながっていた。

 CBで主将の森本裕来以が中心となり、まずはゴール前をキッチリ固める。1トップを担う岸晃司を中心に打開を図る川崎Fに対し、両ストッパーを相手のポジション移動に合わせて柔軟にサイドや中盤に押し出しながら“個”での打開を封じ込み続けた。前半のスコア「0-0」はまさに甲府にとって狙いどおりのものだった。

 一方、川崎F視点で言えば、ここまでの展開は「相手の思惑にドップリとハマってしまった」(今野章監督)。プリンスリーグ関東での対戦時も「まさにこういう展開」(同監督)で0-1と敗れており、心理的にも焦りが出る流れだったかもしれない。ボールを持つ側が有利とは限らない、「サッカーの永遠のテーマ」(同監督)に直面しながら迎えた後半は、まさにサッカーでよく見られる展開となった。

 まずは13分、サッカーの神様が微笑んだのは甲府だった。中央から巧みに抜け出したFW宮川瑞希のシュートはGK名良橋拓真がグッドセーブも、こぼれ球を抜け目なくMF土屋真輝が詰めて、まずは1得点。さらに15分には右サイドからMF川手秀斗が放り込んだクロスボールが絶妙のループシュートと化してファーサイドネットへ。サッカーの非情さを思い知らせるようなゴールが生まれ、甲府が2点のリードを奪った。

 残る時間は25分。攻める川崎Fに守ってカウンターの甲府という構図はより鮮明になった。技術に定評のあるU-18日本代表候補のボランチ末木裕也が「死ぬ気で守るしかないと思った」と体を張って相手の攻勢を阻めば、攻撃陣も相手DFの上がりに対応して戻り続けるなど暑熱の中でも運動量を維持。「どうしても中に、中にと行き過ぎてしまう」(今野監督)川崎Fに対し、徹底して中を固めて耐える。

 甲府守備陣にしてみると、この試合展開は前日の第1戦の借りを返すための戦いでもある。ロスタイムに入って2分まではリードを奪っていたG大阪戦、そこからまさかの2失点で大逆転負けだった。だが、そんな思いとは裏腹に、ロスタイム直前に失点が生まれる。右クロスから交代出場のFW瀬川ヤーシャに押し込まれて、1-2。

「今日もか!こんなことあるのかよ!」と小佐野監督が青ざめ、末木も「正直、ガンバ戦が頭をよぎった」という最悪の流れ。ただ、ここで選手間の声がよく出ていた。U-18日本代表候補GK中村将らが互いに熱い声を出してチームを鼓舞。川崎Fの迫力ある攻撃をしのぎ、何とかタイムアップの笛を聞くこととなった。直後、中村から思わず「あぶねー!」という声が出る、そんな熱い試合を制して甲府が白星。これでHグループは4チームすべてが勝ち点3で並ぶ白熱の大混戦となった。

[写真]後半15分、甲府U-18は川手のゴールで2-0と突き放す

(取材・文 川端暁彦)
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