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「ここに来ないとこんな経験はできない」 金沢U-18、クラブの成長示す全国初出場

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金沢からも多くの保護者が訪れていた

[7.23 日本クラブユース選手権U-18大会GL第2節 FC東京U-18 2-0 金沢U-18 前橋総合]

 北信越予選で準優勝に輝き、史上初めて日本クラブユース選手権(U-18)大会に参加しているツエーゲン金沢U-18。プレミア勢相手に2連敗と苦しい戦いが続く中、培ってきたスタイルの片鱗は随所に見せている。33歳の辻田真輝監督は「ここに来ないとこんな経験はできない」と述べ、今大会で得た“財産”に手応えを感じていた。

 これまで北信越地方のJユースは新潟がリードし、その後を富山、松本が追いかけるという構図。だが、今夏はそこに金沢が割って入った。辻田監督は「クラブ自体の成長」が要因と指摘。スタメンの大半を占める2年生は、金沢U-15が中学年代のクラブユース選手権で初勝利を挙げた時のメンバーであり、地道な体制づくりが効いているのだという。

「追いかけるという状況から少しずつ差が詰まってきて、U-15の年代では全国大会に絡んでいくことがようやくできるようになってきた。今回はU-18年代で初めて全国に出場できましたが、これから続いていかないといけないと思っています」(辻田監督)

 そんな金沢U-18は初戦の磐田U-18戦に0-3で敗れ、この日は前回大会まで2連覇中のFC東京U-18に挑んだ。パワフルな攻撃を繰り出す相手に対し、序盤に強風下のセットプレーから失点を喫すると、後半立ち上がりにもPKで追加点を奪われるという劣勢の展開。終盤にはチャンスもいくつかつくったが、ゴールを割るには至らなかった。

「攻撃の時間が少なくなり、守備の時間が長くなってしまって、自分たちのサッカーができなかった。もっと良いポジションを取ってボールを持つ時間を長くしたかった」(MF沢村亮輔主将、3年)。石川県リーグ所属の金沢U-18だが、今大会では“2階級上”のプレミア勢との連戦。指揮官は「相手は明らかな格上で、選手たちが普段体験できないようなことがたくさんあった」と振り返った。

 とはいえ、単に“やられた”ばかりではなかった。DF越元佑太(2年)とDF山越翔太(3年)のセンターバックコンビはアグレッシブな守備が光り、引いて守るつもりはないという姿勢を前面にアピール。攻撃ではGK上田樹(2年)を絡めたビルドアップでボールを前に進め、前線のテクニックある選手を生かした密集攻撃の形を繰り出し、明確な狙いを感じさせるものだった。

 すでにグループリーグ敗退が決まったため、今大会で残された試合は同じく全敗中の熊本ユース戦のみ。次の世代につながる結果が欲しいところだ。「2試合が終わってまだ得点がゼロなので、点を取って試合に勝ちたい」(沢村)。全国大会での勝ち点獲得、そして悲願のプリンスリーグ北信越という目標へ向け、上り調子の金沢U-18が大事な一戦に臨む。

(取材・文 竹内達也)
●第42回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会特集ページ

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