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前澤2ゴールの大宮U18が決勝Tへ逆転進出!京都U-18は熊谷3戦連発弾も1点及ばず涙

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前澤拓城が2ゴールを決めて決勝トーナメントに導いた

[7.27 日本クラブユースサッカー選手権U-18大会D組第3節 大宮U18 2-1 京都U-18 大渡緑地]

 27日、日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会グループステージ第3節の各試合が群馬県内各地で行われた。大渡緑地多目的広場では関東第1代表の大宮アルディージャU18が、関西第3代表の京都サンガF.C.U-18を2-1で下し、逆転で決勝トーナメント進出を決めた。

 大宮U18は第1節でレノファ山口FC U-18に0-2で敗れたが、第2節のアルビレックス新潟U-18戦では試合終了間際のFW高橋輝(3年)のゴールで1-0で勝利。勝てばノックアウトステージ進出決定で、引き分けだと山口U-18対新潟U-18の結果次第という状況だった。

 一方京都U-18は第1節の新潟U-18戦はDF飯田陸斗(2年)、FW熊谷空大(2年)のゴールで2-0と勝利。第2節の山口U-18戦は熊谷とMF喜多壱也(2年)のゴールで2-2と引き分け。よって引き分け以上でノックアウトステージ進出で、負けた場合は山口U-18対新潟U-18の結果次第という状況だった。

 立ち上がりペースを握ったのは、勝たなければいけない大宮U18の方だった。前半4分、大宮U18の高橋がドリブルで左サイドを突進、相手と交錯しながらもFW前澤拓城(3年)にパスを出す。「輝がドリブルで突っかけてきてこぼれたボールを何も意識しないで打ちました」と無心で右足を振り抜いたシュートがゴールに突き刺さり、大宮U18が先制した。

 さらに前半22分に思いもよらぬ形で大宮U18に追加点が生まれた。京都U-18のDF斎藤大雅(3年)がDFラインでボールを持っていたところで、相手のミスを突いて前澤がボールを奪う。「GKの位置をずっと見ていたら高かったので、ゴールも見ないで打ったら、GKの位置がすごくずれていて、入って良かったです」と前澤が振り返った通り、GK三反畑篤樹(2年)はゴール左寄りの高い位置にいて前澤のシュートに触ることができず、ボールはゴール右隅へと転がっていった。ラッキーな形で2点差として、前半は大宮U18ペースで2-0のまま終えた。

 後半開始と同時に京都U-18は2人選手交代。途中出場で2戦連発ゴールを決めている熊谷をピッチに送り込む。前半とうって変わって、今度は京都U-18が攻勢となり、トップ2種登録のFW小山真生(3年)が積極的にシュートを放つなど、決定機をつくり出す。しかし大宮U18はU-18日本代表候補のキャプテンDF小澤晴樹(3年)とU-17日本代表DF市原吏音(2年)がよく声を出しながら、相手の攻撃を冷静にはね返し続けた。

 負けるとグループステージ敗退の可能性がある京都U-18は、終盤にかけてさらに攻撃の勢いを強める。そして後半34分、MF松本隼和(3年)のコーナーキックをファーサイドで喜多がヘディングで折り返し、こぼれ球を熊谷が押し込み3戦連続ゴールで1点差に詰め寄る。

 しかし京都U-18の反撃もここまで。2-1で大宮U18が逃げ切ってDグループ2位となり、ノックアウトステージ進出決定。敗れた京都U-18は山口が首位通過を決めたために、グループステージ敗退が決まった。

 大宮U18の森田浩史監督は「試合前は自分たちのできることを出し切ってスコアで相手を1つ上回れば勝てるよ、後悔のないゲームにできるように自分たちの力を発揮して欲しいと言いました。前半しっかり入ってくれて、点を取れてさらにパワーを上乗せできました」と冷静に良い入りができて、前半で2点リードを奪えたことを勝因に挙げた。

 後半はピンチもあったが、「プレミアリーグでも2点リードを追いつかれた試合がありました。1点取られた瞬間相手の勢いが増してきますので、ハーフタイムでは失点しないことと、3点目を取りに行くことを言いました。最後失点しましたが、それまでよく我慢したことで逃げ切れました」と守備陣の集中も称える。

 何度も相手の攻撃をはね返した市原も「攻撃陣が早い時間帯に点を取ってくれたので、後ろがゼロで抑えれば負けません。隙を見せて1失点しましたが、その後も全員で声を出して崩れることなくできたので良かったと思います」と振り返る。

 28日のラウンド16は伊勢崎市華蔵寺公園陸上競技場にて、プレミアリーグEASTでも対戦している柏レイソルU-18と戦う。森田監督は「暑くて連戦ですし、レイソルにボール回しを自由にやらせてしまうと体力が疲弊してきます。お互い手の内は知っていますが、できることをやるだけです」。市原も「確実にボールをつなぐのがうまいですし、相手も自分たちのことを分かっていて難しいですが、戦い方を変えずに全員で一体感を持って試合に臨めば絶対勝てると思います」と闘志を燃やした。

 一方、あと1点取って引き分けていればノックアウトステージ進出だった京都U-18の石田英之監督は、「早い時間帯の失点でゲームを難しくしてしまいました。1失点で持ちこたえながら流れを取り戻すということができないうちに2失点目を喫したのが痛かったです」とミスから与えてしまった2失点目を悔やむ。後半は攻撃で主導権を握れていたが、「最後に決めきるところ、もう少し圧をかけるところで、人数と質にもう一歩こだわらないと崩しきれません」と更なる改善を誓う。

 キャプテンのMF平賀大空(3年)も「大会通して入りを意識していたのですが、プリンスリーグ関西でもやられていて、立て続けに2失点したのが反省です」と唇を噛む。「ここで得た経験は大きいので、ここで落ちずに立て直して、プレミアリーグ昇格という目標に向けてチーム一丸となって頑張りたい」と目線を上げた。

(取材・文 小林健志)
●【特設】第46回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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