beacon

悔やむ本田、「ゴールはケチャップみたいなもの。出るときはドバドバ出る」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[9.11 W杯アジア最終予選 日本1-0イラク 埼玉]

 決定機を逃したことを悔やんだ。MF本田圭佑(CSKAモスクワ)は「勝てたことは大きかった。それが一番の収穫」と、チームとして勝ち点3を奪ったことには納得しながらも「個人的には決定力不足を露呈した試合だった」と厳しい口調で言った。

 シュート数は後半だけで両チーム最多の5本。後半7分、MF遠藤保仁のFKのこぼれ球に詰めたが、左足のシュートはDFにブロックされる。同24分にはDF長友佑都の左クロスに頭で合わせたがゴール上へ。さらに同35分、左サイドからのFW清武弘嗣のピンポイントクロスに体を投げ出した場面も、渾身のダイビングヘッドはGKの手に弾かれ、右ポストを直撃した。

「後半は必ずチャンスが来ると思っていたし、キヨ(清武)からのボールも事前に言っていた形だった。決めていれば完璧なゴールだったけど、決め切れないのはちょっとした差。それがビッグゲームになると、命取りになる」

 試合開始から相手ボランチのMFハルドゥーンにマンツーマンでマークに付かれた。「オランダ時代にはよくマンツーで付かれていた。今日は試合前から予測していたし、イメージもできていた」。厳しいマークに遭いながらボールを呼び込み、体を張って起点になると、自らスペースに動き出してフィニッシュに絡んだ。「消える動きがポイントだと試合前から意識していた。後半はスペースが出てくると思っていたし、パスをもらうまでは、シュートまでは狙いどおりだった」と唇をかんだ。

 自省の言葉を繰り返す本田は「どうやって改善されるかといえば、続けるしかない。なんぼ外しても続けるだけ」と力説。「名ストライカーが言っていた。ゴールはケチャップみたいなもの。出ないときは出ないけど、出るときはドバドバ出る」。独特の表現で語る背番号4は「しっかり反省して、前を向いて。次の試合では取れる自信もある。前を向いて、ロシアに戻って、自分のクオリティーを上げていきたい」と気持ちを切り替えた。

 試合直後にはアルベルト・ザッケローニ監督がピッチ内に入り、本田に対して強い口調で身振り手振りをまじえ、何事か話していた。指揮官は記者会見で「覚えていない。試合に関連することを言ったと思うが、試合が終わったばかりでアドレナリンもかなり分泌していた」と笑ってはぐらかしたが、本田によると、「ゴールを取れ」と、決定機に決め切れなかったことを叱咤したという。

「監督には普段から『もっとゴールを取れるはずだ』と言われる。自分自身、ゴールを求めているけど、『もっとゴールを取れ』と言ってくれる人は少ない。監督としてというより、一人のアドバイスをくれる人間として貴重だと思う。満足している素振りは一切見せないし、いい傾向だと思う」

 ザッケローニ監督との関係をそう明かす本田。試合直後のシーンでは本田も何か言い返していたように見えたが、「消える動きは何回もしているけど、パスが出てこないときもあった」という趣旨の説明をしたという。「監督からすれば、1回でもチャンスがあるならそれを決めろって感じでしょうけどね」。そう笑うと、「そもそも直接はコミュニケーションは取りづらい。英語で何とか話しているけど。でも、お互いに直接コミュニケーションを取れないぐらいがちょうどいいんでしょう。向こうも俺の言ったことはあんまり分かってないだろうし」。冗談とも本気とも取れない表情で語る言葉に、指揮官との厚い信頼関係が見て取れた。

(取材・文 西山紘平)

▼関連リンク
ブラジルW杯アジア最終予選特集

TOP