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[AFC U-19選手権]「ここで負けて非常に悔しい」U-19代表に欠けていた声、アグレッシブさ…

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[11.11 AFC U-19選手権準々決勝 日本1-2イラク UAE]

 4試合でわずか2得点。すでにA代表選出歴を持つFW久保裕也(京都)やMF熊谷アンドリュー(横浜FM)、MF大島僚太(川崎F)ら世代を代表するタレントたちの名が並んだU-19日本代表だったが、アジアの壁に跳ね返された。

 イラク戦の後半開始からピッチに立ったMF田鍋陵太(名古屋)は「自分たちの力の無さがこういう試合に出たんじゃないかと思う。自分は後半から出て、やってやろうって気持ちはあったけど、こういう結果で責任をすごく感じてる。途中からでも点に絡んでないし、何回か突破はできたけど、全部含めて個人もダメだったしチームもダメだったと思う」と力不足だったことを認めた。

 チームとして思い通りにボールを動かすことができず、チャンスの数が少なかった。実力面ももちろんだが、我慢強さと同時にアグレッシブさも欠いた印象だ。0-1の後半3分にMF矢島慎也(浦和)の左足シュートがDFに当たってゴールへ吸い込まれる幸運な形での同点弾。直後には田鍋が思い切ったドリブル突破を仕掛け、SB山中亮輔(柏)のロングシュートなど流れを引き寄せていた。

 だが警戒していたセットプレーからあっさり突き放されると、徐々に意気消沈。山中が「前半は我慢してという事だったけど、失点してから自分たちのサッカーができないというか、思い通りにいってなかった。後半追いついてからすぐ失点した。これからという時に失点してしまったのでそこが悔やまれます。もっとみんなで話し合って、声を出し一つになっていこうって話してたけど途中から声も少なくなってしまった」と振り返ったように、チーム内で鼓舞する声も少なく、劣勢を跳ね返すパワーがなかった。

 声が少ないのはこのチームにとって常に課題だった。2月の千葉合宿では全く声の出ないチームに対して吉田靖監督から「黙ってやりやがって! (1次予選で韓国に敗れるなど)悔しい思いをしてきたんじゃねぇのかよ! やれよ! アジアで勝てねえぞ! 悔しい思いをしたくなかったら、毎試合本番のつもりでやらねぇと。みんなでやるんだよ!」と激を飛ばされるシーンもあったほどだ。当時に比べて声は大分出るようになり、プレーの激しさも増したが、チームとしての迫力は勝たなければ世界切符を失うイラク戦でもどこか物足りなかった。

 指揮官の「アグレッシブさで負けた」という指摘に対してMF野津田岳人(広島ユース)は「あんまり自分たちのサッカーが出来なかったというか、つなげず日本らしいサッカーができなかった。話してはいたがプレッシャーにやられたり上手くいかなかった。もっともっと自分をださなきゃ、チームのプラスになることしないと。課題だと思う。オレがって気持ちを出さなければいけなかった。気持ちはあったが実力不足だった」

 また、2年前の敗因についてCB遠藤航主将は大会前、「球際のところだったり、メンタル的な部分で、向こうは失点しても気持ちが落ちないでがむしゃらにやってくるし、日本はそういう相手に対して球際で勝てなかったり、それで失点してしまった後にそのままズルズルミスが多くなったりして自分たちのリズムにすることができなかった」と指摘していた。ただ中東勢との4連戦となった今回もその課題は変わらなかった。「選手も違いましたし、個性もありますし、(前回とは)全然違うと思う。でもやっぱり振り返ると、相手の方が球際に対しての意識とか試合への意識は向こうの方があるのかなと。そこは前回とも変わらなかった」

 山中は「本当に世界にいこうと話していたので、ここで負けて非常に悔しいです」。4大会連続でU-17W杯に進出している一方でU-20W杯杯は3大会連続予選敗退。今回の敗戦を踏まえて強化、メンバー選考など見直し、本気で世界を獲りにいかなければならない。

(取材 了戒美子)
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