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4年ぶりの昇格を逃した千葉MF兵働「勝てなくて、本当に申し訳ない」

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[11.23 J1昇格プレーオフ決勝 大分1-0千葉 国立]

 サポーターの前に行くと、涙が止まらなかった。今シーズン、柏レイソルから期限付き移籍でジェフユナイテッド千葉に加入したMF兵働昭弘は、1点差で敗れた2012シーズン最後の試合の結果を悔やんだ。

 この試合、大分の守備陣はマンマークに近い形で千葉に対応し、思うように中央で攻撃の起点をつくることができなかった。その中でも兵働は、前半35分のFK、後半29分のシュートなど、チーム最多となる3本のシュートを放っている。「最後まで変わらず落ち着いてやれていたと思います。相手の長いボールをケアしてカウンターを受けないようにしながら、ボールを保持できるなら保持し、シュートに行けるならシュートに行く。そういう戦い方はできていたし、良い形で攻めることができていた」と振り返りながらも、最後の精度を欠いたことを認めた。

「ただ、最後のところでミスが出たり、落ち着きが足りなかったかなと思います。そこから一瞬の隙を突かれてしまいました。(失点を)ゼロに抑えていればJ1に上がれていたので、まだまだJ1で戦うところに行けていないのかなと思います」

 J1のクラブと同等の予算が組まれている千葉は、昇格を期待されていた。しかし、残り4分で、J1昇格の切符は手から滑り落ちた。シーズンを通しての戦いを振り返り、兵働は「変に受けてしまっていた」と反省する。

「最初に引かれることもあるし、なかなか自分たちからアクションを起こせない。それで自分たちがちょっと模索して変えても、なかなかうまくいかなかった。シーズンの最後、優勝がなくなり、どんどん状況が厳しくなっていく中で吹っ切れたというか。もう一度原点に戻ることができて、残り3試合くらいはやれました。それをもっと早く自分たちで気付いてやれていれば。1年通してやれていれば……と思います」。

 試合後、サポーターの前を歩いた兵働は、涙を堪えることができなかった。

「最後に勝たないと今まで積み上げてきたことも報われないし、残念な形になって申し訳なかった。僕は今年1年しかいませんが、チームは3年間J1に上がっていない。その中で、サポーター、そのチームにいた選手たちがどれくらいつらい思いをしてきたか。僕では分かりきれないくらい、つらい思いをしてきたと思う。そういう人たちを勝ってJ1に上げてあげたいと1年間思ってやってきました。今日もスタジアムの半分以上をジェフのサポーターが埋めてくれた中で戦えたにも関わらず、勝てなくて、本当に申し訳なかった」

 同じ千葉を本拠地とするライバルクラブから期限付き移籍で加入し、41試合出場7得点を挙げた兵働は、最後まで「申し訳ない」と繰り返し、ミックスゾーンを後にした。

(取材・文 河合拓)

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