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宇佐美貴史インタビュー(中編)「岡崎くんがお手本」

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 名門・バイエルンに渡り、UEFAチャンピオンズリーグ決勝では日本人初のベンチ入りを果たす。夏にはU-23日本代表の一員として、ロンドン五輪にも出場。その後、ホッフェンハイムへ移籍し、ブンデスリーガで活躍。しかし、終盤はベンチ外……。ドイツへ渡った2年目も、MF宇佐美貴史は濃密な時間を過ごしている。日本の至宝は今、何を思っているのか。ゲキサカが直撃インタビュー。全3回の2回目となる中編では、選手としての理想像を語っている。

―まだ20歳なのに、サッカー界に長くいる感じがします。周りが求める『宇佐美像』と現実にギャップは感じますか?
「プロ4年目で、20歳で海外にいて、人より早いペースでヨーロッパに来ることができています。結果もJリーグで残せていたし、個人タイトルも取れたので……。周囲のハードルはすごく上がっているんですよね。だからサッカーファンの人たちが持っている『宇佐美って、こうだよね』というイメージに、オレ自身がまだ付いていけていません」

―では、2年後、3年後のイメージは?
「まだあと2年あるんですけど、23歳でマックスに持っていきたい。そこから能力をキープしていく。23、24、25歳になって、今のオレが経験しているようなことを経験するのでは遅いんです。だからいま、自分がそういう場所で、そういう経験を積めて、気付くべきことに気付けていることは大きい。しっかり頭で理解できていますし、それを実践するだけ。活躍し始めれば、ファンの人たちが思っているハードルに、すぐ届くんです。活躍できなければ『いい気になったな』と思われるだけなので」

―ブラジルW杯のころですね。
「ブラジル大会には出たいですね」

―日本代表のザッケローニ監督に言われて印象に残っていることはありますか?
「最初に言われたのが『岡崎(慎司)がお前にとって一番良い手本になる』ということです。監督が求めている決まり事とか、こういうときはここにいなさいという動き。それと質が高く、量も動ける。だから、あれだけ結果が残せていると思います。自分のやっているプレーは岡崎くんにはできないし、岡崎くんがやっているプレーは自分にできない。でも、どっちが正解かといえば、岡崎くんの方が結果を残しているし、正解だと思っています。逆に『ああいうプレーをオレができるようになれば』と言ってくれたんだと思います」

―周りから見るとタイプは違うが?
「タイプが違うように見えますが、例えば良いドリブル突破を10本出す、ボールに触るたびに相手の脅威になる。そういう自分のスタイルを100%試合の中で出せる理想のところまで持っていくには、岡崎くんのようなスタイルが必要だと思う。そこは違うようで、結構つながっています」

―言われてすぐ、そう解釈できた?
「はい。言われてから、もう1年半経っているんですけど、まだ全然なので。それがもうアホらしくなりますね。自分が情けなくなります。もっと変わらないと。ちょっとずつ変わっていても、そのスピードがまったく理想に追い付いていない。あの(岡崎のような)オフ(・ザ・ボール)の動きと量を自分も出せるようになれば、そこからのドリブル突破、パスは自分も持っているから。それでもっと脅威になれると思います。難しいですよ、なかなか。そういうところが一番、難しい」

―とはいえ、常に課題は明確ですね。
「課題は常に理解できています。『今、自分が何をやったらいいんやろう』と思ったことはないです。むしろ課題が見えなくなると、次の課題を探してしまう。それは、ダメなところでもあるんですよ。ネガティブになるというか。良いときは、若いからぐいぐい勢いに乗っていけばいいと思うんです。でも、良いときほど、悪いときのことを考えてしまう」

―サッカーに関しては完璧主義者?
「異常にね。だから、ダメなんです。楽に捉えればいいんですけど、サッカーしかしていない分、それが難しい。脳ができ上がる前にサッカーしてましたからね(笑)。物心つく前からサッカーを始めているから、サッカーがうまくいかないと、腹が立って仕方がない」

―食事をしていても?
「そうです。遊びに行っても、買い物に行っても、しっくりこない。逆に上手くいってれば、すべてに“花”が咲いたような感じになりますね。難しいヤツなんです(笑)。だから、今はあの歳でサッカーを始めたことを後悔しています。いろんなことを覚えてから、サッカーをしていれば、いろんな楽しみ方が分かったと思うので」

―今はどんな感じですか?
「ずっと“つぼみ”ですね。ずっと努力するしかないですね。でも、以前よりは丸くなりましたよ。尖っていたピークは、ガンバでプロになったときですね。前半で代えられたら、1週間は引きずっちゃうとか、それくらいでした。今は奥さんもドイツにいるし、メンタル的な苛立ちとか、サッカーに対するこだわりが、徐々に柔らかくなっています。まだまだ尖っていますよ。でも、触ってもケガしないくらいになりました。以前は触ったらケガするくらい、ピシャーって切れるくらい尖ってましたが、今はそこまでじゃなくなっています(笑)。若すぎるんですよね。考え方が甘すぎるというか。変えたいですね。でも、変えない方がいいんじゃないですか?」

―変えないでいいんじゃないですか?
「メディア側はね。こっちの方が面白いでしょ(笑)」

―フライブルク戦のゴール、相手を寄せ付けないドリブルが見事でした。
「ああいうテンポで行くと、なかなか相手はガツンと来れないですね。相手が来る前、来る前で、勝負していった感じなので。あれは理想的な形ですね。バーンと来られるのをまともに受けると厳しいですし、かわすだけでも労力を使ってしまうので。だから、ラグビーみたいな感じですよね。ボールを持ったら真っ直ぐ走っているだけ。そういうドリブルが結構理想なので」

―外国人の間合いをつかめた感じがしましたが?
「あのときはそうでしたね。感覚でいけるんです。ドリブルは、始めたら、全然できるんですよ。1試合に3、4人抜いているドリブルがずっと続いてできている。それが点につながっていないのはダメなところですが、突破力とか、そういう(DFを)ちぎれる力は付いていると思うので。成長していると思います」

(取材・文 河合拓)

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