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クラセン決勝の再戦、横浜FMユースが6ゴールで柏U-18沈める:プリンスリーグ関東1部

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[4.27 プリンスリーグ関東1部第4節 横浜FMユース6-3柏U-18 マリノスタウン]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2013 プリンスリーグ関東1部は27日、第4節を行い、神奈川県横浜市のマリノスタウンでは昨年の日本クラブユース選手権(U-18)大会優勝の柏レイソルU-18(千葉)と同準優勝の横浜F・マリノスユース(神奈川)が対戦。ホームの横浜FMが6-3で撃ち勝った。

 勝った横浜FMの松橋力蔵監督が「内容は散々だったと思います。カウンターであったり、ショートカウンターであったり、ファーストブレイクであったりの状況で得点を奪えているのは成果があったんですけれども、ウチがボールを持っている時間が非常に少ないですよね。自分たちが主導権を持ってやるためにボールを持つということが非常に雑でしたし、判断も非常に悪い。人任せなところも結構見えましたし、そういう中では次に行くことは難しい」と厳しく指摘し、柏の下平隆宏監督も「ウチのスタイルとしては不用意にボールを失うことが多すぎる。ボールの動かし方や握り方とか、主導権の持ち方に問題があった。中盤のところでボールを受けるのが自信無さげにやっていた。『まあ、いいや』という感じで放棄してしまっていたので、もっと自信を持ってやりなさいと言ったんですけど。いいバランスで攻めないからボールが取れなかった」と振り返ったように課題の残る試合となった。

 クラブユース選手権決勝の再戦は昨秋のプリンスリーグ関東1部でも2-1で雪辱勝利している横浜FMが再び白星を挙げたが、序盤からボールを支配する柏相手に目指しているサッカーを展開することができなかった。それでも主将のMF早坂翔(3年)が「先週は球際が悪くて、プレスも遅くなって、どんどん蹴ってくる相手に対して、後手後手になってしまった。(今週は)連続した守備の自分たちが一度行ったら、二度追いしたり、守備の部分を厳しく意識してやってきた」と語ったように悪コンディションの中、1-5で敗れた市立船橋高(千葉)戦からのメンタル面の切り替え、そして一週間トレーニングしてきた成果も表現する。

 ボールを保持する時間こそ短かったものの、横浜FMはインターセプトから中央で仕掛けることのできる早坂が相手のファーストディフェンスを再三突破し、MF新里涼(3年)の展開力やCBからの縦パスが得点機につながる。16分にはこの日再三右サイドからゴール前まで顔を出していた右SB福田圭佑(3年)のパスから強引にDF間に入り込んだ早坂が右足シュート。18分にも新里が左オープンスペースへボールを落とすと、U-18日本代表候補MF汰木康也(3年)の折り返しからMF田中健太(3年)が決定的なヘディングシュートを放った。

 そして24分だ。横浜FMは縦パスから右オープンスペースを突いたFW深澤知也(3年)が完ぺきな折り返し。これに右サイドから走り込んだ田中が右足でゴールへ沈めて先制した。横浜FMはさらに31分、CB斉藤海(2年)の縦パスにスピードを活かして走り込んだ深澤が、相手の対応が乱れた隙を見逃さずに右足シュートをねじ込んだ。

 3月末にアメリカで開催されたダラスカップでマンチェスター・Uを下すなど準優勝している柏だが、この日は同大会7得点のFW大島康樹(2年)が体調不良のため欠場。MF会津雄生(2年)を頂点とするゼロトップシステムで試合に臨んだ柏は序盤、相手のラインを下げるために速いタイミングで縦パスを入れていたが、相手の厳しい守りを嫌ってかその後も形が整う前にクロスやラストパスを選択する場面が多く、相手を押しこむことができない。守備のバランスを常に意識しながら徹底したポゼッションでジワリジワリと攻めるスタイルが、この日はボールを失う形が悪いために、ボールを奪い返すことができず。逆に洗練された横浜FMのカウンターの前に連続失点を食らうこととなった。

 横浜FMは後半1分、右サイドの田中が前方のスペースへ出した縦パスで抜けだしたFW武颯(3年)が、角度のない位置から右足一閃。ファインショットをゴール左隅へ突き刺してリードを広げると、16分には左サイドを抜けだした汰木から左中間でパスを受けた田中が右足を振りぬく。ゴール左外側から軌道を鋭く変えたボールはゴール左隅へ突き刺さる圧巻の一撃。これで4-0となった。

 このままでは終われない柏は17分、左サイドからのパスを中央の会津がおさめ、入れ替わるように飛び込んできたFW宮澤弘(3年)が右足で追撃ゴール。だが横浜FMは21分に左サイドから切れ込んだ汰木の左足シュートのこぼれ球を深澤が左足でゴールへ沈めると、41分にも一度失ったボールを取り返したFW瀬賀悟(3年)が右足シュートを流しこんだ。柏も30分に交代出場の左SB中島玲央(2年)のアーリークロスから会津が右足シュートを決め、アディショナルタイムには会津のヒールパスから交代出場のMF龍野一樹(3年)が右足シュートを決めるなど力を示したが、汰木が「去年は本当に悔しい思いをした。本当にいいようにやられたので、きょうは借りを返そうという強い気持ちもありました。結果が出て良かったです」と振り返ったようにクラブユース選手権決勝敗戦の悔しさを忘れていなかった横浜FMが勝ち点3を獲得した。

 横浜FMは3月のマリノスカップでプレミアリーグ勢の東京Vユース(東京)、札幌U-18(北海道)、東福岡高(福岡)、そして高校選手権4強の星稜高(石川)を破って優勝。クラブユース選手権準優勝、Jユースカップ4強と昨年あと一歩で逃したタイトル奪取がチームとしての今年の目標だ。早坂は「自分たちはひとつになると強い。どんどん点を取れるのでそれを毎試合出せたらいい。市船戦みたいに天候もコンディションも悪い中で力を発揮できるか。自分たちがどう粘れるか、その中でも力を発揮できるように練習していきたいです」。この日は6得点を奪って勝ったが、指揮官が指摘したように課題はまだまだある。それを個人、チームで改善して目標を実現するための力をつける。

[写真]前半31分、横浜FMの深澤が右足シュートを決める

(取材・文 吉田太郎)2013 プリンスリーグ
2013 プリンスリーグ関東1部

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