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好守から流れ掴み合った流通経済大と順天堂大、勝ち点1分け合う:関東1部

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[5.18 関東大学リーグ1部第8節 流通経済大0-0順天堂大 味フィ西]

 JR東日本カップ2013第87回関東大学サッカーリーグ戦1部は18日、第8節1日目の4試合を行い、味の素フィールド西が丘で開催された6位・流通経済大対7位・順天堂大戦は0-0で引き分けた。

 立ち上がりは高い位置でボールを奪っていた順大が相手を押しこむ時間帯が続いた。そしてFW原田開(4年=磐田ユース、前・湘南ベルマーレ)やMF長谷川竜也(2年=静岡学園高)がテンポの速い攻撃を見せるが、流経大はCB有賀雅刀、左SB湯澤聖人(ともに2年=流通経済大柏高)らがPA手前でしっかりと攻撃を跳ね返す。この後はやや守備のバランスを欠いた順大がボールを奪えなくなり、全体的に下がってしまった相手を流経大が押し込んでいく。

 前半シュートゼロに終わった順大に対し、流経大は20分過ぎに4連続CK。そしてFKからも相手ゴールヘ迫ると、28分にはMF中山雄登(4年=広島ユース)のスルーパスに対して中央へダイアゴナルに走りこんだMF江坂巧(3年=神戸弘陵高)がそのまま左足シュートへ持ち込む。29分には相手GKのキックミスを拾ったMF中美慶哉(4年=前橋育英高)が右足シュート。そして40分にはGKへ猛然とプレッシャーをかけたFW田上大地(2年=流通経済大柏高)がインターセプトする。ただ右サイドへ流れたところをすぐに立て直した順大GK大畑拓也(3年=磐田ユース、前・ジュビロ磐田)がスライディングタックルでストップ。この後、流経大はクロスにMF黒田拓真(4年=東大阪大柏原高)が頭から飛び込んだが、順大守備陣が懸命のディフェンスでゴールを死守した。

 ミスもあり守備が落ち着かない順大を後半立ち上がりも流経大が押しこむ。だが、2分に右クロスをGKが処理しきれず、ファーサイドから決定的な形で飛び込んだ中美が押し込もうとしたが、ここは順大DFが身体を寄せてシュートは枠外。12分にも右アーリークロスを中美が右足ダイレクトで合わせたものの、シュートはクロスバーを叩いた。

 抜群の突破力も脅威の中美が「前半は結構プレスも効いていて相手にサッカーをさせずに攻めることができたと思うんですけど、決めるところを決めないとキツイ試合になってしまう。自分も後半決定的なチャンスがあって、そういうところで決められるようにならないといけない。(チームとしても)3人目の動きだったりが足りない。もっと連動して動ければいい」と振り返ったようにチャンスを活かしきれなかった流経大に対し、順大は明らかに守備の修正がハマって流れを引き寄せる。

 順大の吉村雅文監督は前半、攻めようという意識が強すぎたことを指摘していた。「ウチはボールがないときに攻撃のイメージを持っていることが大事なチーム。(むしろ)ボールがない時がチャンスやと。まずは守備。ボールを取って始めるという意識を持たなければいけない。守備の意識は6:4。7:3でもいい」。まずは「攻めるため」にボールを奪うことに注力すると、攻撃も好転し始める。ボールを奪ってから、あるいはリスタートからの切り替えが非常に速い順大はFW岡庭和輝(4年=千葉U-18)や長谷川、原田が相手の背後へ次々と飛び出すと、カウンターからの一撃、サイドからの崩しで流経大を脅かした。いい形でボールを運べなくなった流経大に対し、MF和田直己(4年=静岡学園高)投入で突破口を増やした順大は、攻撃の中心として存在感を放つ長谷川を軸に決定機をつくり出す。

 19分、縦パスで抜けだした原田がPAへ侵入するが、ここは流経大CB川崎裕大(3年=成立学園高)がスライディングタックルで阻止。29分にはMF野田聖矢(1年=広島工高)のインターセプトから右中間で長谷川のスルーパスに反応した原田が右足アウトサイドでシュートを狙う。連係からPAへ迫力を持って入ってくる順大は、長谷川が股抜きドリブルやスピードを持ってDF2人の間へ身体をねじ込んでいくなど個でも局面を打開。そしてスピードに乗った攻撃参加からファーストブレイクしたSB吉永哲也(2年=千葉U-18)や和田が右サイドからラストパスまで持ち込んでいた。

 ただし、42分に和田とのパス交換で完全に右サイドを崩した長谷川の決定的なシュートはGK原田祐輔(4年=三菱養和SCユース)が反応。中野雄二監督が「失点しなかったことが良かった。最後の応対のところでファウルをせずに止める。こういうチームにしたかった。ポジションの取り方、相手をリスペクトした中で守る部分は成長した部分だと思う」と評した流経大守備陣から1点を奪うことができなかった。一方、流経大も交代出場のMF森保圭悟(2年=広島ユース)の直接FKやスピードを活かしてカウンターのフィニッシャー役となったMF土屋智義(4年=千葉明徳高)のシュートでゴールヘ迫ったが、最後までゴールを割ることはできず。好守を印象づけた両チームだったが、今季5回目の無得点に終わった流経大、シュート3本に終わった順大ともに決定力に課題を残す0-0ドローとなった。

[写真]後半19分、順大FW原田の突破を流経大DF川崎がスライディングタックルで阻止

(取材・文 吉田太郎)
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