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セットプレーの失点を悔やむ麻也、3戦9失点に「ふがいない」

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[6.22 コンフェデレーションズ杯A組 日本1-2メキシコ ベロオリゾンテ]

 1年前のデジャブ(既視感)のようだった。0-1の後半20分、FW前田遼一に代わってDF吉田麻也(サウサンプトン)がピッチに入り、3-4-3にシステム変更した直後。メキシコはMFジオバニ・ドス・サントスの右CKをニアでDFミエルが頭でそらし、FWハビエル・エルナンデスがDF内田篤人の頭上からヘディングシュートを叩き込んだ。

 昨年8月7日に行われたロンドン五輪準決勝。メキシコと対戦した日本は1点リードの前半31分、やはりドス・サントスの右CKをニアでそらされ、同点ゴールを許した。結局、試合は1-3の逆転負け。当時の苦い記憶がまだ消えない約10か月後に、まったく同じ形で失点した。

「2点目はオリンピックとまったく同じ形でやられている」。オーバーエイジとしてロンドン五輪に出場していた吉田にとって、悔やんでも悔やみ切れなかった。「メキシコはずっとあれを狙っていた。試合前に(チームメイトに)伝えられたはずだし、キックの直前にも気づいた。そこで伝えられなかったのは自分自身、詰めが甘かった」。

 選手交代によるマークミスは否定する。「僕が入ったことで(前田)遼一さんとハジさん(細貝)のマークをズラして、そこは付けていた」。だからこそ、防げる失点だった。課題のセットプレーの守備。そこでまたしても甘さが出た。

 3試合で9失点。吉田自身、イタリア戦では失点に直結するミスを犯すなど、守備の中心選手の一人として3戦全敗の責任を痛感している。

「失点を減らさない限り、勝つことは不可能。ふがいない。何もできずに終わった。僕はこの大会に経験を積みに来たのではなく、結果を出しに来た。だけど何も残せなかった。腸わたが煮えくり返る気持ちで帰らないといけないのは悔しい」

 世界は想像以上に強かったのか。それとも、自分たちの力を出し切れなかったのか。結果を出せなかった理由を聞かれると、「出し切れなかったほうが強い。ブラジルは強かったけど、イタリア、メキシコにこの先、10年勝てないとは思わない」と答えた。

「局面局面でやられているけど、組織は大きく崩されていない。個の部分を詰められるようになれば組織は十分に通用する。ブラジル戦の2失点目、3失点目。イタリア戦の2失点目、4失点目。今日のセットプレーも防げた。防ぎようはあった」

 故障明けで万全ではないコンディションの中、臨んだ大会で、個のレベルアップの必要性をあらためて痛感させられた。「高いレベルで高いパフォーマンスを発揮する地力を付けないと。1年でそこを埋めて、来年は形で示さないといけない」。世界での借りは世界でしか返せない。1年後のブラジルW杯で、もしもブラジルやイタリア、メキシコと再戦することになったら……。「同じ相手に何回も負けるわけにはいかない」。最後の質問に吉田は力強く答え、ミックスゾーンをあとにした。

(取材・文 西山紘平)

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