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[クラブユース選手権U-18]横浜FMユースが13年ぶりに「クラブユースの夏」制す!

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adidas CUP 2013
第37回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

[8.3 日本クラブユース選手権決勝 広島ユース1-4横浜FMユース ニッパ球]

 夏のクラブユース日本一を決めるadidas CUP 2013第37回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の決勝戦が3日にニッパツ三ツ沢球技場で行われ、昨年準優勝の横浜F・マリノスユース(関東2/神奈川)が延長戦の末に4-1でサンフレッチェ広島ユース(中国1/広島)を下し、13年ぶり5回目の優勝を果たした。なお、大会MVPは横浜FMのMF汰木康也、MIPは広島MF野口翼が受賞。得点王には、準決勝で敗れた清水エスパルスユース(東海2/静岡)FW北川航也(通算7得点)が輝いた。

 頂上決戦の前半は横浜FMがボールを保持するものの、攻めあぐねる展開だった。ビルドアップからロングパスでサイドチェンジを織り交ぜたが、パス精度を欠くなどテンポが上がらなかった。一方の広島は野口を起点に鋭い縦パスからのコンビネーションで横浜FMゴールを急襲。開始1分、6分、21分といずれもフリーになった選手がボールを持った状態から縦パス3本以内でシュートまで持ち込むという手際の良さでFW諸岡佑輔、U-18日本代表候補FW越智大和がシュートを放った。28分には大きなサイドチェンジに走り込んだMF横山航河がランニングボレーシュートをゴールの枠に飛ばしたが、横浜FMの2年生守護神、田口潤人に阻まれた。広島の攻撃は徐々に加速。31分には諸岡、35分には越智がシュートチャンスを迎えたが、前者は横浜FMGK田口がセーブで、後者はDF福田圭佑がカバーで難をしのいだ。

 横浜FMはボランチの長倉颯が中盤で相手のマークをかわしてドリブルで持ち上がるなど反撃を見せて前半をしのいだが、後半開始から完全にペースを奪われた。そして8分、広島が見事なパスワークで均衡を破った。後半から左ワイドで起用されたU-17日本代表MF宮原和也がU-18日本代表候補MF川辺駿とのパス交換から鮮やかな弧を描く右足シュートでゴール。大一番で重要な先制点を挙げた。

 しかし、横浜FMの主将、早坂翔が「泥臭さは僕たちの持ち味ではない。でも、自分たちのサッカーができないときには泥臭くでも戦って下を向かずにやることが大切。相手に回されたけど、嫌な守備でも頑張ることができた。今大会はここまで粘り強く戦えていたので、その良さが出た」と話すように、この日のトリコロールは力強かった。ハーフタイムにCBを1人代えたにも関わらず、13分と18分に積極的な選手交代を行ったのが、反撃のきっかけだった。ダブルボランチ型の4-4-2からトップ下を配置する4-2-3-1の布陣に変更。13分に途中出場を果たした新里涼はトップ下で献身的な守備と切れ味鋭いスルーパスを見せて相手に脅威を与え、18分に出場した2年生MF田崎遼太郎は勢いのあるドリブル突破で深い位置まで侵入してくる広島の選手を敵陣へと追い返した。そして25分、右サイドで早坂、福田とつないだパスを受けた田崎が思い切った左足のシュートを突き刺して同点に追いついた。

 試合は、怒とうの反撃を見せる横浜FMのペースに変わったまま90分が経過。1-1のまま、延長戦に突入した。すると「自分のプレーを振り返ってみて、決定的な仕事ができていないと思ったので、延長戦ではエンジンをかけた」という左MF汰木が相手に有無を言わさぬドリブル突破を何度も敢行。延長前半9分、汰木が左サイドを突進すると、中央で早坂、途中出場のFW瀬賀悟へとパスをつなぎ、最後は新里がゴールへ押し込んで逆転に成功した。松橋力蔵監督が「広島は、オレたちが勝っていても最後まで諦めずに来る。そのときに自分たちの良さを出せ、跳ね返せ」と説いていた横浜FMは、その後も攻め手を休めなかった。「勝つのはオレたちだ」という声が聞こえてきそうな積極的なプレーを連発。延長後半10分に右クロスのこぼれ球を新里が押し込んでダメ押し点を奪うと、その直後には田崎が豪快なドリブルシュートをたたき込んで一気に3点差とリードを広げた。そして「逆転の広島」の異名を取る相手に延長戦ではシュートを打たせず、タイムアップのホイッスルに歓喜の雄たけびを挙げた。昨季は決勝まで駒を進めながら、柏レイソルU-18に敗れて涙にくれた。主将の早坂は「昨年の(準優勝だった)先輩たちができなかったことを成し遂げられた。でも、この結果に満足せずにプリンスリーグ(関東1部)やJユースカップでも優勝を目指して頑張りたい」と喜びながらも次の目標を掲げた。

(取材・文 平野貴也)
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