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[MOM834]横浜FMユースDF長田健(2年)_プライド見せた粘り腰

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.8 高円宮杯プリンスリーグ関東1部 横浜FMユース1-1市立船橋高 みなとみらい21トレーニングセンター]

 敗色濃厚の中、守備で意地を見せた。プリンスリーグ関東1部第12節、今夏の日本クラブユース選手権を制した横浜F・マリノスユースは、全国高校総体王者の市立船橋高に苦しめられていた。前半43分にカウンターで先制を許し、後半は立ち上がりから防戦一方。その中で体を張ったブロックを見せていたのが、横浜FMの2年生CB長田健だった。

「まだ行ける。ここを踏ん張れば、チャンスは来る。そう思っていたので、しっかりと行けた」という長田は、押され気味の展開で得意のインターセプトはなかなか見せられなかったが、後半35分に市立船橋のエース石田雅俊にシュートを打たれた場面では必死にコースを消して難をしのいだ。1失点のまましのいだ終盤、チームは途中出場したFW瀬賀悟のゴールで同点に追いついた。長田は「先制されたし、パスを回されて試合の流れも悪かった。後半も立ち上がりに攻め込まれた。それでも1点を返して同点で終われた。今まで、プリンスリーグでは先制されてしまうと、同点に追いついたり、逆転で勝ったりという試合がなかった。この引き分けは大きいと思う。僕は、チームの成長の一つだと思う」と食らいついてもぎ取った勝ち点1の価値を強調した。

 長田は、まだ台頭してきたばかり。ジュニアユース時代は主力でユース1年目も国体メンバーには入っていたが、今季のチームでは春先からあまり出番がなかった。出番をつかんだのは、今夏のクラブユース選手権だ。「1月のカタール遠征も行けなくて、僕はこっち(国内)に残っていた7人の1人。ずっと試合に出られなかった。先発で起用され始めたのは(クラブユース選手権の)関東予選。使ってもらって、心の底から嬉しかった。クラブユースでは準決勝で緊張して終盤に足をつってしまう事故があったけど、決勝では落ち着いてやれるようになった。クラブユース選手権は、自分のサッカー人生のターニングポイントと言えるような大会になったと思っている」と成長を遂げた夏を振り返った。全国優勝に貢献し、貴重な経験を積んで次のステップアップを見据えている。

 ただ、この日は粘り強い守備で同点劇の呼び水となったが、勝利に貢献したわけではない。チャンピオン対決で面目を保ったとはいえ、まだ課題も残されている。松橋力蔵監督は「良いところもあったけど、前半に相手のFWが縦関係になっているのに、うちの2枚(のセンターバック)はフラットで守っていた。その差を使われているのに直せていなかった」とポジショニングの修正ができず、相手に攻撃の起点を作られていた点を鋭く指摘した。

 2年生同士のコンビのため、経験面で劣るところがあるのは致し方ないところだが、長田は「そういうところは、自分からどんどんやっていかないといけない」と真摯に受け止めた。また、シュートブロックばかりが目立つようでは自身の目標に近付くこともできない。「僕は、前での守備、インターセプトから攻撃を仕掛けるプレーが持ち味。守備だけでなく攻撃にも積極的に参加できて、ビルドアップでもしっかりとつないで、チャンスメークができるディフェンダーになりたい」と目指す理想像を語った。次こそは攻撃につながる守備で勝利に貢献したい。「チームとしては、プレミア参入戦に出られる3位以内が目標。冬のJユースカップもまだ残っている。その2つを取りたい」と意気込む今後、さらなる飛躍が期待される。

(取材・文 平野貴也)
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