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[選手権予選]作陽の高速アタッカー・平岡は違い示すも「最後決めきらないのは自分の弱さ」

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[11.4 全国高校選手権岡山県予選準決勝 作陽1-0倉敷翠松 笠岡陸上競技場]

 F東京、浦和、磐田、岡山に練習参加するなど、この1年間、大きな注目の中でプレーしてきた日本高校選抜MF平岡翼(3年)はこの日、作陽の右MFとして先発フル出場。前半28分には圧巻のスピードによって独力で右サイドを切り裂いたほか、後半15分には緩急をつけたドリブルで右サイドを打開してMF永松達郎(3年)の決定的なヘディングシュートへとつなげた。ただ、ほとんどのシーンでは平岡のスピードを警戒する相手SBが距離を取って守っていたため、スペースを与えられなかった本人は不完全燃焼。試合終盤は強引な仕掛けからシュートへ持ち込もうとしたものの無得点に終わり、「きょうは全然ダメだったと思います。相手に引かれた中で自分の良さを出すことができなかった。もっと周りを使って自分が活きるようにしないといけない」と反省していた。

 1-0のままで終わるのではなく、自分自身が1点を取って勝敗の行方を決定づけたかった。注目、期待を越えるプレーを求めている平岡にとってこの結果は決して満足のいくものではない。先月下旬に練習参加していたF東京の強化担当を務める浅利悟氏は、視察したこの日の試合後「(平岡は)特別な才能を持っている。(武器も発揮していたが)最後のところでチームを勝たせられる選手に」とコメント。無得点を悔しがった平岡は「ホンマ決めるべきだったんで、最後決めきらないのは自分の弱さ。スター性というか、まだ持っていないと思いました。自信をつけてプロにいきたいです。最後の決めきるところで、どうしても自分の心の中の詰めが甘い。相手をかわしたところで自己満足してしまったりしているところがあってプレーが軽くなってしまう。決めきるところまでが自分の仕事だと思って、ひとつひとつ決めることで自信も出てきて当たり前になってくると思う。そういうところをもっと意識してやりたい」と力を込めた。

 ただ以前に比べると、思い切ったプレーができているという。「技術的にはまだ全然なんですけど、考え方というか、注目をプレッシャーには考えず、力に変えられているのかなと最近思います。前だったらミスしたら、『あー、ミスした』って感じだったんですけど、今は、『ボクはまだまだ上手くなれる』とプラスに考えられるようになった。どんどん仕掛けないと成長もできない。周りの目もあると思うんですけど、そんなことを気にしていたら次がないので、もっともっと仕掛けてチャレンジしていくという気持ちでいます」と前を向く。

 現在の目標はもちろん選手権での日本一。必ず県決勝を突破して全国制覇に挑戦する。「自分が中学校のときから憧れてきた大会なので、そういう大会で自分が目立つというか、自分の大会にしたいという気持ちもあるんですけど、部員が142人もいるので、その部員たちの願いである全国制覇を果たしたい。選手権は142人の思いが詰まった大会です。人間としても大会を通して成長できたらいい。いろいろな人に感謝しながらそういうところも力に変えて結果を出したいです」。1年前、インパクトを残した全国大会の準々決勝で敗れたあと、「結果を出せる選手にならないといけない」と意識してきた。今月中にも発表される模様の進路へ進む前に全国制覇を。結果にこだわって全国の頂点まで戦い抜く。 

(取材・文 吉田太郎)
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