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[選手権予選]最後の全国切符懸けた岐阜決勝は名門・岐阜工が逆転V!出場48校出揃う!

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[11.24 全国高校選手権岐阜県予選決勝 岐阜工2-1各務原 長良川メドウ]

 第92回全国高校サッカー選手権岐阜県予選は24日、長良川球技メドウで決勝を行い、岐阜工が2-1で各務原に逆転勝ち。4年ぶり24回目の全国大会出場を決めた。これで全国大会に出場する48校が全て決定。岐阜工は12月31日の1回戦で神村学園(鹿児島)と対戦する。

「ここで笠工(岐阜工)の時代を終わらせる訳にはいかなかったし、最後の国立に行くのは絶対に岐阜工業だと思っていた」。準決勝まで全試合でゴールを決めてきた岐阜工の右MF山田雄作(3年)はホッとした表情でことばを発した。過去3年間は新進の帝京大可児に全国切符を奪われ、岐阜工は夏の高校総体でも全国進出を逃し続けていた。

 特に今年は清本勝政監督が「1年前のスタートの時はこの結果は予想できなかったですね。春の強化遠征、リーグ戦、夏の遠征の結果も例年に比べて試合にならないような惨敗だったり、名だたる県の強豪とやると4点、5点と取られていました。このままになっちゃうのかなという気持ちがありました」と明かした世代。それでも指揮官が「夏過ぎくらいから自分たちでやらなければいけない、と自主的にやっていた。自分たちで考えて、上手くなるためには、勝つためには、強くなるためにはと自分たちで考えながらやり始めたのは例年にない特長でした。これで終わっていいのかということを一番背負っていたのは選手たちだったと思います。チームとしてのまとまり、雰囲気は過去にないくらいいいですね」と目を細めたように、悔しい思いを糧に自発的に動き、考え、努力を続けてきた選手たちは今大会、鹿島内定のU-17日本代表MF杉本太郎(3年)擁する帝京大可児との準決勝を「足を5、6人攣らせていた」(清本監督)という死闘の末に勝利すると、決勝でも名門の意地を示す逆転勝ちで4年ぶりの栄冠を手にした。

 24回目の全国を狙う岐阜工と、過去4年連続準優勝の各務原との決勝。立ち上がりからボールのおさまりどころがなく、互いに縦へ蹴り合う展開となった試合は7分に各務原がスコアを動かした。MF山本龍之介(2年)が相手ディフェンスラインの背後へボールを落とすと、これに鋭く反応したFW水谷峻(3年)が飛び出してきたGKをかわして右足で先制ゴールを流し込む。

 一方、準決勝で全国総体8強の帝京大可児を撃破し、勢いに乗っていたはずの岐阜工だが前半は沈黙。1年生FW竹下晃太郎が相手の厳しいマークにあうなど、思うような攻撃をすることができない。それでも5分、右CKをファーサイドのCB村瀬大地(2年)が折り返し、名古屋グランパスの飯島寿久コーチを父に持つCB飯島龍寿(3年)が頭で撃ち抜く。これは各務原MF櫻井嵩大(3年)のスーパークリアに阻まれたものの、岐阜工はアドバンテージを握っていた高さを活かして得点機をつくっていた。
 
 各務原が1-0とリードして折り返した後半、先に主導権を握ったのはまたもや各務原だった。中盤で存在感を放っていたMF清水航太郎(3年)がDFを個人技で外してチャンスメーク。6分には清水が自ら仕掛けて右足を振りぬき、9分には櫻井の好パスから右サイドをえぐったSB小松永幸(3年)の折り返しを決定的な形で水谷が合わせる。

 だがゲーム主将の左SB庄司圭輝(3年)が「自分たちは後半になると点が入る。後半、死ぬ気でやろうと言っていた」という岐阜工は山田と左MF立花稜也(2年)の両翼がドリブルで仕掛ける回数を増やすなど、前への勢いを強める。精度が高かったとは言い難いが、縦パスやドリブル突破など前へ、前へと繰り返していた攻撃が各務原の守りに穴を開けた。21分、左サイド後方からのFKで飯島がGKとディフェンスラインとの間へボールを入れると、飛び込んだ村瀬が頭で合わせて同点ゴール。さらに26分にはハーフウェーラインを少し越えた位置から飯島がゴール方向へ蹴った右足FKが、GKのミスを誘ってゴールへ吸い込まれる。この時間帯、4バックのうち2人が足を攣らせて交代してしまった各務原の守備の乱れを逃さずに畳み掛けた岐阜工の逆転劇だった。

 一転、追う立場となった各務原は30分、左サイドを突いた水谷の折り返しを清水が右足で狙うが、その後は「ウチはヘディングで逃げるヤツは使わない、というくらいです。ヘディングということに関しては、重要なポイントとして普段から練習しているので岐阜工業らしさは出せたと思う」と清本監督が説明した岐阜工の高さ、堅守の前にチャンスをつくることができない。勝負どころの終盤で各務原に全くシュートチャンスをつくらせなかった岐阜工が、1点リードを守り切った。庄司は「嬉しいです。最高です。正直、こんな優勝まで行けると思っていなかった。県選抜も県トレの選手もいないし、1年の時は『オレらの代は無理や』とか言っていた。でも夏を越えて、全国の強豪チームにボロ負けして、このままじゃ悔いが残ると思った。自分たちで意識変えて、変わることができた」と胸を張った。全国大会まであと1か月強。準備期間はどの代表校よりも短いが、悔しさをバネに自分たちで「変わった」岐阜工がさらに成長し、全国舞台でひとつでも多くの白星を手にする。

(取材・文 吉田太郎)
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