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静学、八千代…「関東NIKE FC」からも6選手が「NIKE CHANCE」ジャパンセレクションへ

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 ナイキジャパンが育成年代に向けて行っている特別強化プログラム「NIKE FC」は22日、埼玉県さいたま市のレッズランドでトレーニングプログラムを行った。1週間前に大阪府堺市のJ-GREEN堺で行われたプログラムに続き、今回もNIKEが開催する世界規模のスカウトプロジェクト「NIKE CHANCE」の“予備セレクション”を兼ねて行われ、計6選手が合格した。

 セレクションを通過したのはMF高原正旭(静岡学園高3年)、FW浅川隼人(八千代高3年)、DF金子理史(八千代高3年)、FW西尾龍也(大成高3年)、FW犬飼元気(irrumattio/3年)、MF染谷由来(大森FC/2年)の6人。来年2月1日に開催されるジャパンセレクション関東ラウンド(神奈川県 横浜みなとみらいスポーツパーク)の1次セレクションが免除され、2次セレクションから参加する。

 ジャパンセレクションの1次セレクションと同じメニューで構成された“予備セレクション”。「隣の選手に勝つ。そういう気持ちでやってほしい」。「NIKE FC」のリー・マンソンヘッドコーチは選手同士の競争意識をあおると、「個性でもテクニックでもハードワークでもいい。自分を出してほしい」とゲキを飛ばし、約2時間半のトレーニング兼セレクションが幕を開けた。

 20mダッシュのタイム測定に始まり、2タッチでの対面パス、定められたボックス内をドリブルで駆け抜ける「ランウィズザボール」、2対2+フリーマンのポゼッションなど、次々とメニューを消化していく選手たち。基礎的な運動能力からボールコントロールの精度や状況判断の速さなど、さまざまなポイントで「NIKE FC」のコーチ陣が鋭く目を光らせた。

 狭いゾーンでの1対1では個の力が試され、2対2ではプラス判断力も問われた。ゴールを置いた4対4では総合的な能力がチェックされ、最終的に6人の選手が厳しい関門を突破。「他にも選びたい選手はいたが、今回は6人だけ選んだ」。選考に頭を悩ませたというリー・マンソンヘッドコーチは最後に「今日のベストプレイヤー」として高原の名前を挙げた。

 静岡学園高3年の高原だが、卒業後は大学に進学せず、海外にサッカー留学するつもりだった。そんな中、世界でプロになる夢を実現させる「NIKE CHANCE」の存在を「ゲキサカで知って、是非参加したいと思った」と、はるばる静岡から埼玉へやってきた。

 足の裏を駆使した独特なボールキープやテクニックなど、トレーニングを通じて際立ったプレーを見せ続けた。リー・マンソンヘッドコーチも「2対2では4本連続でアシストにつながるパスを出した」と絶賛。状況判断の悪さからボールを持ちすぎてミスにつながる場面もあったが、日本から世界に飛び出したいという野心に燃える181cmのテクニシャンは「次も持っている力を全部出してグローバルファイナルに行きたい」と力を込めた。

 八千代高からも浅川、金子の2人がセレクションに参加し、そろって合格した。すでに高校の部活からは引退しており、「久々に芝生の上でサッカーができて楽しかった」と声をそろえた2人は練習中からだれよりも声を出し、笑顔でサッカーを楽しんでいた。

 浅川は桐蔭横浜大、金子は中央大に進学することが決まっている。「大学卒業後にプロに行くのが目標」と話す浅川。チームは最下位に終わったプリンスリーグ関東1部で14ゴールを挙げ、得点ランキング3位に入った。「いかに相手を外してフリーで受けるか。オフザボールの動きを大事にして、シュートの精度にこだわりたい」。“世界”にはまだ現実感がないが、金子は「全国からうまい人がいっぱい来ると思うし、そういう選手と一緒にできることが楽しみ」と無欲に、それでも「左足のキックと運動量」という左SBとしての武器を存分にアピールするつもりだ。

 前回の「CHANCE」ではセミファイナルで惜しくも敗退した金子。大成高の西尾もまた2度目の挑戦でジャパンファイナルに勝ち残った。182cmの大型FWはポストプレーなどで持ち味を発揮したが、自己評価は「50%の出来」という。卒業後は尚美学園大への進学が決まっているが、「世界は自分の夢なので、何としても受かりたい」。来年2月1日のジャパンセレクションに向けて「次は納得いくプレーがしたい」と意気込んだ。

 これまで定期的に活動を続けてきた「関東NIKE FC」の“中心メンバー”である犬飼もジャパンセレクションへの切符を手にした。高校2年の夏に高校の部活動を辞め、クラブチームで活動してきた犬飼は同時に「NIKE FC」でも自分を磨いてきた。前回の「CHANCE」では「参加資格の年齢に20日ぐらい足りなくて出られなかった」こともあり、「気合いは入っています。3年間待っていたようなものなので。自分にとって『NIKE CHANCE』は、高校生で言う選手権みたいなもの。3年間の集大成をぶつけたい」と、並々ならぬ決意を口にした。

 染谷も今年7月と10月に「NIKE FC」のトレーニングに参加していた。「絶対に受かってやろうという気持ちで臨んだ」という今回のセレクションでは「ミスも多かった」と反省したが、「今までは緊張したり不安もあったけど、今回は自信を持って臨めた」と過去の経験を生かした。

 ジャパンセレクションは来年1月25日に関西、同2月1日に関東で開催され、各勝者の計2人が“日本代表”として、来年3月にイングランド代表の本拠地セント・ジョージズ・パークで開催されるグローバルセレクションに出場。これを通過した16人がマンチェスター・Uやユベントスなどビッグクラブへのスカウティングツアー(2014年7月~)に参加する。

「自分も早く海外に行って、目に留まる選手になりたい。2月1日までにもっとレベルを上げて、他の選手よりも頭一つ抜けるぐらいに目立って、絶対にチャンスをつかみたい」。そう力強く誓った染谷。選手それぞれがさまざまな思いを胸に秘め、「NIKE CHANCE」に挑む。

★「NIKE CHANCE」の詳細はこちらから

(取材・文 西山紘平)

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