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長友独占取材、本田とのミラノダービーは「夢の対決ではない」

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 日本代表DF長友佑都(インテル)が25日、都内で三菱養和SCユース所属の選手を対象としたナイキ主催のトレーニングイベントに参加し、選手たちを直接指導した。イベント後の長友をゲキサカが独占取材。高校生プレイヤーへのアドバイスとともに、MF本田圭佑が加入するミランとのミラノダービー、さらには来年6月に開幕するブラジルW杯への思いを聞いた。

 セリエAで早くも4シーズン目を迎えた長友。トレーニングでは目の前の高校生に向かって「メンタルがブレたら世界では戦えない」と、精神面の重要性を強調した。「いくら練習でいいプレーを見せても、プレッシャーのかかる試合の中で力を発揮できなければ意味がない。カッサーノやスナイデルは、ミスをミスと思ってない」。ともにプレーしてきた世界トップレベルの選手の名前を挙げ、「肝が据わっているというか、根性がある」と、日本人との違いを指摘する。

「それぐらいの精神力、強い気持ちを持つことができれば、世界のトップに近づくことができる。『ミスをしたらどうしよう』という弱い自分が心の中にいる。その自分にどれだけ打ち勝てるか」。長友自身、「今でもうまくいかないことも多いし、だからこそ課題にしている」と、常に意識し、取り組んできたテーマだ。「自分自身の中にあるネガティブな部分というのは、サッカーだけでなく、私生活でも常に出てくる。いかに自分自身をコントロールできるかというのはいつも心がけている」。インテルという世界的なビッグクラブでプレーしていくうえで、意識改革は必要不可欠だった。

 左膝の負傷に苦しむ時期もあった2013年。それでも「つらい時期があるからこそ、新しい自分を見つけられる。いいことばかりでは新しい自分を見つけられない。苦しいときに、いかにその壁を乗り越えるかによって成長もできる。苦しいことは経験しないとダメだと思っている」と前向きに捉えている。これもまた、長友の言うメンタル強化の賜物だろう。

 ミラノダービーで日本人対決が実現することについても「光栄なこと」と話す一方、「夢の対決ではない」と強調する。「僕や(本田)圭佑には『世界一になる』という目標がある。そのためにはビッグクラブでプレーする選手がもっと出てこないといけない。そういう意味では夢の対決ではない。光栄で、ありがたいことだけど、普通のことだと思っている」と言ってのける。

 身近にいるのは世界のスター選手ばかりだ。ブラジルW杯で同組に入ったコロンビア代表のMFフレディ・グアリンとは「いいW杯にしよう」「グループリーグを突破するのはコロンビアと日本だ」と話しているという。グアリンに限らず、各国の代表選手が名を連ねるチームメイトからは日本についても「世間の評価よりもいいチームだし、侮れない」と声をかけられることもある。

 グループリーグ初戦で対戦するコートジボワールは、長友のA代表デビュー戦(08年5月24日のキリン杯)の相手だった。このときは1-0で勝ったが、前回の南アフリカW杯直前に行われた強化試合では0-2の完敗。フィジカルの差を見せつけられ、試合後には「球際でボールを取れなかった。せめて五分五分にしないと勝てない」と話すなど、アフリカ特有の身体能力の高さに圧倒された記憶が今も鮮明に残っている。

 あれから4年。セリエAでもまれ、加速度的に成長を遂げてきた長友にとって、これ以上ないリベンジマッチでもある。「フィジカルも含めて、自分がこの4年間でどれだけ成長したのか。W杯本番で、本気同士の戦いの中で勝負できるというのは、こんなに自分にとってうれしいことはない」と目を輝かせる。

 グループリーグを突破すれば、決勝トーナメント1回戦ではイタリアと対戦する可能性もある。「27歳といういい年齢でW杯を迎えることができる。このW杯で絶対に後悔したくないという気持ちが強い」と位置付ける“運命めいた”大会。「まずはグループリーグを勝ち上がらないといけないけど、そこでイタリアと勝負できたらうれしいことだし、是非対戦したいと思っている」と力を込めた。

(取材・文 西山紘平)

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