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[選手権]青森山田、PK戦で米子北に競り勝ち「鬼門」の3回戦へ

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[1.2 全国高校選手権2回戦 米子北1-1(PK4-5)青森山田 等々力]

 第92回全国高校サッカー選手権は2日、各地で2回戦を行った。等々力陸上競技場の第2試合では、ともに今大会初戦となる米子北(鳥取)と青森山田(青森)が対戦。1-1のまま80分間で決着が付かず、PK5-4で青森山田が5大会連続の16強進出を決めた。3日の3回戦では履正社(大阪)と対戦する。

「よっしゃ、来ーい!」「さあ、来ーい!」。青森山田のU-18日本代表候補GK田中雄大(3年)の大声がピッチに響き渡る。1-1のまま突入したPK戦。3-3で迎えた先攻4人目、米子北FW小川暖(3年)のキックを田中が横っ飛びでキャッチする。青森山田は5人目のFW李相赫(3年)まで全員が成功し、PK5-4で初戦を突破した。

「一時はどうなるかと思ったけど」。冷や汗の初陣勝利に黒田剛監督は思わず苦笑いを浮かべた。前半から決定機をつくりながら決め切れず、0-0で後半に折り返すと、後半11分にセットプレーから失点した。米子北の左CK。DF山田優祐(3年)のキックにニアサイドのDF森本大貴主将(3年)が左足で合わせる。ゴール前で青森山田の選手も必死にクリアを試みたが、クリアし切れずボールはゴールマウスへ。1点ビハインドを負った。

 しかし、ここから青森山田が猛攻を見せる。後半17分、MF石井光(3年)が李とのワンツーでPA内へ切れ込み、左足でシュート。これはDFのブロックに阻まれ、同20分にはMF山田武典主将(3年)の右CKからゴール前混戦の中、押し込んでゴールネットを揺らしたが、直前にハンドの反則を取られた。怒涛の反撃も米子北の体を張ったディフェンスに跳ね返され、嫌な雰囲気もピッチ上に流れていた。

 それでも後半33分、石井が右サイドからドリブルで縦に仕掛け、PA内へ進入。マイナスの折り返しに李が右足で合わせ、ついに同点ゴールを奪った。一気に逆転を目指し、同37分には石井のスルーパスを受けたMF山下優人(2年)の右クロスからMF飯島諒(3年)がヘディングシュート。しかし、これはGK北島拓海(3年)のセーブに阻まれ、後半アディショナルタイム、FW橋本峻弥(3年)の左クロスにフリーで合わせた山下のヘディングも枠を捉え切れなかった。

 試合はそのまま1-1で終了。勝負の行方はPK戦にもつれ込んだが、守護神のビッグセーブで米子北を振り切った。「PK戦は去年も彼(田中)で2試合勝っている。気持ちの強い子だし、何とか1本は止めてくれると選手も思っていた。そのとおり見事に1本止めてくれた」。黒田監督が手放しで称えた田中は、2年生だった前回大会も1回戦の野洲戦、2回戦の修徳戦と2試合連続でチームをPK戦勝利に導いていた。

 3回戦の相手は初出場の履正社に決まった。「履正社は若いチーム。我々のほうが3年生が多いし、プレミアリーグで戦っているというステージの違いを見せて、アドバンテージを出せるようにしたい」。そう気持ちを切り替えた黒田監督は「明日は鬼門の3回戦ですから」と笑った。09年度大会は準優勝した青森山田だが、その後は3大会連続で3回戦敗退。昨夏の全国高校総体も3回戦で流通経済大柏に敗れた。“3回戦の壁”を突破した先に、4大会ぶりの決勝、さらには初の頂点も見えてくる。

(取材・文 西山紘平)

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