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[選手権]土壇場で履正社に追いついた四中工、PK戦の末に2年ぶり国立進出!

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[1.5 全国高校選手権準々決勝履正社1-1(PK5-6)四日市中央工 駒場]

 第92回全国高校サッカー選手権は5日、準々決勝を行い、浦和駒場スタジアムの第2試合では、初出場の履正社(大阪)と、2年前の準優勝校である四日市中央工業(三重)が対戦した。試合は後半ロスタイムに同点ゴールを挙げた四中工が、PK戦の末に履正社を下し、2大会ぶりの国立行きを決めた。

 前半から試合を優勢に進めたのは、選手権初出場の履正社だった。しかし、得点機を生かせない。前半8分にはPA内でMF石川玲(3年)がシュートを放つが、左に外れる。同12分には細かくパスを回して四中工ゴールに迫ると、MF川畑隼人(1年)がGK高田勝至(2年)と1対1になる。しかし、シュートをミートできずにGK高田にキャッチされた。

 耐える時間の続く四中工だが、その後も攻撃を組み立てることができない。DF後藤凌太(3年)は「(履正社は)夏に対戦したときは、もっとボールを裏に蹴ってくる印象だったが、今日はかなりつないできた」と話す。樋口士郎監督も「履正社の中盤のブロックに対し、自分たちで意図的にボールを動かせなかった。奪われてのカウンターが怖くなり、完全に術中にはまってしまった」と振り返る。

 履正社は左サイドから攻め込み、前半21分にはMF牧野寛太(1年)、同23分にはFW瀧本高志(2年)が左からクロスを入れる。しかし、「前半は相手に回させて、耐えようと割り切った」(後藤)という四中工のDFにブロックされて、中央にボールを送れない。それでも同36分にはDF安田紘斗(1年)のロングボールから、最終ラインの裏を取った石川が決定機を得たが、ここでもシュートをミートできず。前半は履正社シュート2本、四中工はシュート無し、スコアレスのまま折り返した。

 後半の立ち上がりもCKから履正社がチャンスを得るが、得点は動かない。流れを変えたい四中工は、MF木下史也(1年)を下げて、MF服部優斗(3年)をピッチに送り出す。「運動量が少なかった」とDF{坂圭祐}}(3年)は劣勢の時間帯を振り返ったが、フレッシュな服部が入り、四中工は活性する。後半11分にはカウンターから、MF森島司(1年)が強烈なシュートを放つ。これがGK安川魁(2年)に止められたが、こぼれ球をFW小林颯(1年)が再びシュート。鋭いシュートはクロスバーに嫌われた。

 迎えた後半23分、先に試合を動かしたのは履正社だった。起点は2試合連続でゴールにつながっているDF小川明(2年)のロングスローからだった。左サイドからのロングスローを、直前にピッチに入ったばかりのFW菅原大空(1年)がヘッドで流す。これを石川が左足で決めた。四中工の両CBは、「マークの受け渡しをしている際に投げられて、ゴール前にボールが来たとき、どこにあるかわからなかった」(坂)、「入ってきたばかりの選手(菅原)のマークを。確認しきれなかった」(後藤)と反省した。

 1点を追う展開になった四中工は反撃を試みるが、履正社に縦パスをカットされてしまい、攻撃の形をつくれない。逆に後半40分には、カウンターからMF多田将希(2年)からのパスを受けた牧野がGK高田と1対1になったが、ドリブルをGKに抑えられてしまう。「突き放すチャンスがあったのに、突き放せなかった。そこが敗因だと思う」と、試合後に樋口監督が悔やんだように、この場面は大きな意味を持つことになった。

 後半ロスタイム、FKを得た四中工はゴール前に両CBを上げてパワープレーに出る。DF大辻竜也(3年)が距離のある位置からロングボールを入れると、ボールはゴール前の混戦を抜けて、履正社GK安川の下へ。「先に触ってほしかった。誰かがクリアーしてくれると思っていたから、反応が遅れてしまった」と振り返る安川は、ボールをファンブルしてしまう。そこに詰めていた後藤が、左足でボールをゴールに押し込み、土壇場で追いついた。

 PK戦では先行だった履正社の3人目・多田、4人目・小川が立て続けにGK高田に止められてしまう。四中工は4人目のDF中田永一(2年)が決めれば勝利となったが、「自分のミスで追いつかれたから、PK戦ではやらないといけなかった」と話す履正社GK安川が、渾身のセーブ。続く、履正社5人目の牧野が決めると、四中工5人目のMF村澤桂輔(3年)のシュートを再び安川がストップ。PK戦はサドンデスにもつれた。迎えた8人目、履正社は安田のシュートがGK高田に阻まれる。続く四中工は、服部がしっかりとゴール左上に決めて、試合終了。

 試合を優勢に運んでいた履正社にとっては、悔しい敗戦となった。勝利した四中工の樋口監督も「内容では完敗」と認め、「今日の内容では国立では勝てないが、うちには幸い(今日の試合で)危機感がある。国立では良いサッカーをして、今回は優勝したい」と、2年前の雪辱に闘志を燃やした。

(取材・文 河合拓)
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