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[MOM968]富山一FW渡辺仁史朗(3年)_富一前線の脅威、得点王争いの主役へ

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.5 全国高校選手権 日章学園0-4富山一 駒場]

 これで今大会通算4得点。無得点に終わった全国高校総体から成長を遂げたFWが、得点王争いの首位タイに浮上した。FW渡辺仁史朗(3年)は得点王について「最初は考えていなかったんですけど、決めて来たんで意識し始めています。(得点王を取りたいという欲は)あります。あと2試合で1点ずつ、2点は取りたいです」と計6得点での得点王獲得を目標に掲げた。

 その目標に十分到達しそうなパフォーマンスだ。この日は立ち上がりから相手の逆を取るドリブルでDFを翻弄。50m走6秒ジャストのスピードを持っているが、止まった状態からでもDFを打開してチャンスをつくり出した。また前線での力強いキープ、前への推進力がチームを牽引。東福岡を完封した日章学園守備陣も渡辺のキレと力強い動きに手を焼いていた。
 
 そして2-0の後半8分、渡辺はDFラインの後方に落ちたボールに対して一気に距離を詰めると、対応しようとしたDFとGKが交錯。フリーでボールを拾った渡辺は難なく右足で3点目のゴールを流し込んだ。そして後半23分には4点目のゴールを演出。右中間でDF2人のマークを豪快な動きで振り切ると、左前方のMF村井和樹(3年)へラストパス。「(シュートを撃つつもりだったが)めっちゃ大きい声で出せと言われて反応して出してしまいました」と苦笑いしたが、味方のファインゴールを喜んでいた。

 今夏の全国総体でも最前線で力強いドリブルを繰り返し、相手を苦しめていた。だが得点はゼロ。足りなかったのは「決定力。1チャンスで決める決定力がない」。それ以降はファーストタッチでボールを置く場所を磨き、少ないチャンスをものにする努力をしてきた。そして今大会では夏からの成長を示して4得点。そのFWは「試合開始前には友達とかからのメールや手紙を読み返して気持ちを高めています。ベンチに入っていない3年生のFWで自分とポジションを争っていたメンバーから『選手権のメンバーに入れないけれど、オマエにならオレの気持ち託せる』という感じで(メッセージに)書いてあった。それを見ていつも高めています」と話すように仲間の後押しも支えにゴールを連発している。

 爆発的なスピードについて「高校の1年生の時に急激に速くなりました。瞬発力を高めるプロテインとか飲んだ後に筋トレしていたら勝手に速くなりました」と笑顔で秘訣を語った渡辺。次戦、準決勝の舞台は国立だ。「夢にも思わなかったです。日本一っていう目標あるんですけど、最初は実際なれるの? と思っていた。国立行けて、ビックリしています。(勝った瞬間まず)国立のグラウンドが頭に浮かびました」。目標どおりならば、四日市中央工との準決勝も1ゴール。勝負どころでのゴールよりもこの日のようにリードを奪い、チームが勢いに乗っている時に奪うシーンが多いが、残り2試合、自身も意識しているように勝負どころでのゴールによって、チームを頂点へ導くつもりだ。

(取材・文 吉田太郎)

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