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「選手権日本一」富山一が新チーム始動、春はW海外遠征プラン浮上

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 劇的日本一を果たした富山一高(富山)が、新シーズンに向けて動き始めた。大逆転で星稜高(石川)を破って初優勝した全国高校選手権の決勝から約1週間後、21日に練習を再開。始動1週間は紅白戦で汗を流している。

 24日、時折笛を吹きながら練習を見守った大塚一朗監督は「どの選手に何ができて、何ができないのか。どの選手がどのように成長したのかを見ている」と新チームの主力選定が目的であることを明かした。選手権に出場していたMF西村拓真、DF村上寛和、GK高橋昂佑(すべて2年)らには、次期チームの主軸として期待がかかる。村上は「昨季のチームに少しでも追いついて、追い越せるチームにしたい。優勝を経験できたので、大会を通じて学んだ気持ちの入れ方を後輩に伝えていきたい。苦しい試合を乗り越えられたことで自信になったところもあるし、より高いレベルでプレーしたいという気持ちになった」と4月から最上級生として臨むシーズンで、さらにレベルアップすることを誓った。

 新チームには、シーズン開幕を前に二度の海外遠征を行うプランが浮上している。一つは、昨季に続くイングランド遠征だ。当初は2年に一度の計画だったが、昨季は人数調整の関係で3年生のみが渡英。下級生が経験できなかったために、3月に2年連続で実施する見込みとなっている。

 もう一つは、4月にスイスで行われるベリンツォーナ国際ユース大会への参加だ。日本高校選抜が2年に一度参加している大会だが、今年はドイツのデュッセルドルフ国際ユース大会に参加するため、不参加。しかし、2014年が日本とスイスの国交150周年という特別な年であるため、主催者側から日本サッカー協会に打診があり、高校選手権開催中から優勝チームの派遣が検討されていたという。富山一は、大塚監督が「4月の(プレミアリーグWEST開幕時に)コンディション、大丈夫かな」と一抹の不安を抱えているものの参加には前向きで、現在は学校の承認手続きを行っている。守護神の高橋は「選手権を経験した3人で中心になって頑張りたい。海外遠征も楽しみにしているし、そこでまた成長したい」と対世界の刺激に期待をふくらませた。

「富山の子たちを育てて勝つ」という信念を貫き、注目度の高い選手権をドラマチックに優勝したため、地元・富山での反響はいまだ冷めやらない。富山駅前や商店街、学校最寄りの越中荏原駅などには祝賀のメッセージが掲出され、サッカー部のクラブハウスは差し入れなどお祝いの品であふれかえっている。24日もパンの差し入れが大量に届いた。取材も多く、大塚監督は同日にラジオに出演。練習にはテレビクルーの姿も見られた。

 しかし、いつまでも余韻に浸っているわけにはいかない。次の戦いはもう幕を開けようとしている。2月8日には、すでに開幕しているジャパンユースサッカースーパーリーグの初戦を迎える。同リーグは、1998年に北信越、東海、近畿地方の数チームが立ち上げた中日本スーパーリーグが母体。北信越勢にとっては、降雪の影響が大きい春先に遠征試合で底上げを図る大きなメリットがあり、富山一はリーグ立ち上げのメンバーでもある。先輩たちと同じ道のりを歩み、再び栄冠を目指す挑戦が始まる。エース候補の西村は「日本一になったことでプレッシャーはあるけど、このプレッシャーを味わえるのは日本で1チームしかないので、楽しみたい。みんなでプレミアリーグ残留と高校総体の優勝、高校選手権の連覇という目標に向かって頑張りたい」と抱負を語った。新チームがどのような活躍を見せるのか、注目だ。

(取材・文 平野貴也)

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