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移籍後初得点の横浜FM藤本、俊輔とも抜群の意思疎通

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[3.2 J1第1節 横浜FM2-0大宮 日産]

 左足から放たれたボールは鮮やかな軌道を描き、ゴールに吸い込まれた。ゼロックススーパーカップ、そしてACLで無得点に終わった横浜F・マリノスにとって公式戦3試合目での初得点、そしてJリーグ開幕戦での貴重な先制点を決めたのが、今季名古屋から加入したMF藤本淳吾だった。背番号25は得点直後にピッチにヒザから滑り込むパフォーマンスを見せて、喜びを爆発させた。

 スコアが動かないまま迎えた前半17分、藤本の左足が試合の均衡を破った。左サイドからドリブルを仕掛けたMF齋藤学の突破は大宮守備陣に食い止められるも、そのこぼれ球が藤本の足下へと向かってくる。「いいところにこぼれてきて、シュートコースが見えた。狙いどおりにきれいに入ってくれたので良かった」と振り返ったように、絶好のシュートチャンスにも慌てず、騒がず。左足をしっかりとミートさせて、先制ゴールを華麗に沈めた。

 横浜FM加入後の初得点に喜びを全身で表すパフォーマンスを見せたが、これは事前に頭に描いていたもの。「パフォーマンスは移動のバスで、ああいうシーンを見ていたのでやりたかった」と笑顔で答えた。

 チームの大黒柱であるMF中村俊輔とは同じレフティーでテクニシャン、横浜FM(当時・横浜マリノス)の下部組織から桐光学園を経てプロ入りと共通項が多い。藤本自身は「俊さんとは今の差が大き過ぎるので、その差を埋めていかなければいけない」と語っていたが、ピッチ上ではすでにシンクロし始めている。2列目の右に藤本、中央に中村が試合開始時には配置されているが、2人はそのポジションに固執しない。試合の流れを読み、どこにポジションを取ることが最適かを考えてこまめにポジションを調整している。

 大宮戦では中央の中村がサイドに開き、空いたスペースを藤本が使用することでボールの流れを円滑にさせていた。これは藤本自身も意識していたことで、「俊さん(中村俊輔)が相手のボランチを引き連れて、サイドに流れていた。それで真ん中にぽっかりとスペースが空くので、タイミング良く入ればフリーでボールを受けられた」と語っている。さらに中村も「(藤本を)サイドに張りつかせたらもったいない。俺が相手をサイドに引っ張って、中央で気持ち良くプレーしてもらえばいい」と話したように、中村の動きに呼応することで藤本自身が輝く場面は増えていた。

 横浜FM加入後初得点を記録してチームに開幕戦白星をもたらすだけでなく、絶対的存在である中村とも抜群の意思疎通を図った藤本。「これで終わらないで続けていく必要がある。これからも点を取り続けられるように頑張っていきたい」と意気込みを示した。

(取材・文 折戸岳彦)

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