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[PUMA杯]浦安連破を目指す名古屋FPラファエル・サカイ「弟を倒した。次は兄の番だ」

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[3.14 PUMA杯2014準々決勝 浦安セグンド2-4名古屋 代々木]

 それは、強すぎるが故の宿命でもあるのだろう。Fリーグで7連覇を達成した名古屋オーシャンズは、中立地の試合を戦っていても、どこかアウェーの雰囲気の中で戦わなければならなくなる。この日の浦安セグンド戦でも、そうだった。浦安セグンドがゴールを挙げれば、会場からは割れんばかりの拍手喝さいが起きる。しかし、名古屋がゴールを挙げても、会場は当然という反応を示すのだ。

 そんな会場の雰囲気に加え、トーナメント特有の緊張感もあったのだろう。名古屋の動きは、重かった。その中で、決定的な仕事をしたのが、FPラファエル・サカイだった。2-2で迎えた後半5分、ピッチ右サイドで相手からボールを奪うと、そのままドリブルで仕掛ける。GK富澤孝を引き付けて、ラストパスを出す。そこに走り込んだFP森岡薫が勝ち越しゴールを挙げた。

 さらに1点差のまま迎えた後半20分にも、ラファエルは左サイドでボールを奪取すると、そのままボールを前へ運び、左足でシュートを決めた。同点に追いつこうとする相手に引導を渡す一発となった。

 敵陣でプレスを仕掛けてボールを奪ったラファエルは、勝利につながる2ゴールを演出した。ただし、この場面、相手にかわされていたら数的不利を招きかねない状況だった。実際、後半3分には右サイドを破られて、FP加藤竜馬にゴールを許していた。ラファエルには、背後を取られる恐怖心はなかったのだろうか。

「監督の指示に、応えようとしただけです」と、ラファエルは説明する。「ハーフタイムに監督から、ボールと同サイドにいる2列目の選手は、ボールに対してもう少し厳しくプレッシャーを掛けてほしいという指示を受けました。後半の2得点の場面、私はいずれも2列目にいて、そこでハメに行くというのがチームの戦い方だったので、その通りにプレーしたのです」

 チームのために。これこそが、ラファエル・サカイのプレーといえるだろう。それはボールを回収する守備面だけでなく、攻撃面でも共通している。ラファエルは今大会チーム最多の5得点を挙げており、得点王も目指せる位置にいる。だが、個人賞には関心を示さない。

「得点王は、意識していませんね。自分が点を取れるなら取りに行きますが、味方が自分よりも良いポジションにいれば、アシストをします。チームのことを最優先に考えたプレーが、私のスタイルだと思います」

 この日、対戦した浦安セグンドについて、ラファエル・サカイは「とにかく速い選手が多いチームでした。対応しづらい部分はありました。その中で、モチベーションというのは、私たち以上にあったと思います。彼らは若く、今日本で一番強いチームと戦う挑戦者でした。もちろん、私たちも連覇に向けて気合は入っていましたが、彼らには失うもののない強さはありましたし、非常に厄介な相手でした」と、称した。

 15日の準決勝で、名古屋はバルドラール浦安と対戦する。この日、対戦した浦安セグンドのトップチームだ。浦安は、この日健闘した弟分の借りを返すだけでなく、自分たちがトップチームであることを示すために、高いモチベーションで名古屋との一戦に臨んでくるだろう。

 名古屋で5年目のシーズンを戦っている日系ブラジル人選手は「私たちも、モチベーションでは負けません。弟を倒したら、今度はお兄ちゃんも倒して決勝に行きますよ」と、ニヤリと笑った。

(取材・文 河合拓)

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