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[プレミアリーグEAST]開幕戦からゴール奪い合った強豪対決、王者・流通経済大柏が青森山田破る!

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[4.6 高円宮杯プレミアリーグEAST第1節 流通経済大柏高 3-2 青森山田高 流通経済大柏高G]

 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2014 プレミアリーグEASTが6日に開幕。昨年、高体連のチームとして初めてプレミアリーグEAST、チャンピオンシップを制した流通経済大柏高(千葉)と青森山田高(青森)との注目対決は、ホームの流経大柏が3-2で競り勝った。

 後半、巧みに相手の急所を突いたプレミア王者と、3点ビハインドを負いながらも終盤猛追した北の名門校。開幕戦から強豪同士が勝ち点3を懸けて激しい攻防戦を演じた。開幕前まで3バックと4バックを兼用しながら準備を進めてきた流経大柏は左SBとしても注目のDF小川諒也(3年)を4バックのCB、本来中盤の久保和己(3年)を左SBに配置。センターラインにはこちらも注目の司令塔・MF相澤祥太(3年)、前線はともに高さと技術を兼ね備えたFW高沢優也とFW伴恭輔(ともに3年)が2トップを組んだ。

 一方の青森山田は180cmの小坂悠登(3年)を中心にともに186cmの菊池流帆(3年)と常田克人(2年)が脇を固める3バックを採用。“危険人物”相澤のマークにMF霞恵介(3年)をつけたチームは全員が守備意識の高さを発揮する中、随所で相手の逆を取るMF野口雄輝や期待のストライカー、FW丹代藍人(ともに3年)が王者の一瞬の隙を狙い続けた。

 立ち上がり、明らかに硬さのあった流経大柏から青森山田が決定機をつくる。8分には左サイド後方から野口がけりこんだFKを頭でつなぎ、最後は中央の小坂がゴールへ押し込む。これは直前のファウルを取られてノーゴールとなったが、13分にも敵陣でインターセプトした丹代の右足シュートがゴールを捉えた。

 徐々に硬さが取れた流経大柏も13分にMF新垣貴之(3年)のスルーパスで抜け出した高沢がGKとの1対1から決定的なシュート。これは枠左外へ外れたが、ボールを握って攻める流経大柏は相澤や伴を起点に攻撃を組み立て、バイタルエリアやサイドをワンツーやドリブルで攻め立てる。だが球際で厳しく、ゴール前でもしっかりとした対応を見せる青森山田からなかなか決定機をつくることができず、0-0のまま前半を折り返した。

 試合が動いたのは後半開始直後の3分だ。流経大柏は左サイドでの混戦からボールを拾った久保がゴールライン際をドリブル突破。やや対応が遅れた青森山田DFに倒される形でPKを獲得する。これをキッカーの小川が左足でゴールへ叩き込んで流経大柏が先制した。青森山田にとっては完全に崩された形ではなかったが、この1点がリズムを狂わせてしまう。相澤へのプレッシャーが緩んで試合を支配されてしまうと、交代出場のFW儀保幸英(3年)に背後を取られかけるシーンが目立ち出す。そして左利きの司令塔、MF山下優人(3年)が「後ろは守る、前は攻めるという意識で(ズレて空いた中盤から)立て続けに失点してしまった。3失点したのは軽いプレーをしたということ」と悔やんだ連続失点で突き放されてしまった。

 19分、流経大柏は相澤が3バックの背後へ送ったループパスに反応した儀保が、右足でのスライディングシュート。これがクロスバーをかすめてそのままゴールへ吸い込まれる。さらに21分には左サイドからダイアゴナルに中央へ入り込んだ新垣の動きが青森山田DFを引き付けると、それを見逃さなかった相澤が空いた左前方へループパス。これに右中間から斜めに走りこんだ儀保が左足ループシュートで3点目のゴールを決めた。昨年、左ひざ前十字靭帯断裂の大けがによって10か月間試合に出られなかった儀保が生み出した2度の歓喜。「(交代出場は)入り方が難しいので、監督にも『強引に行ってこい』と言われていた。強引なプレーは自分も得意なので、どんどん裏狙っていったら、2点取れて良かったです」と微笑んだ儀保の活躍によって流経大柏が勝利へ大きく前進した。

 流経大柏は25分にも相澤の左CKから小川がクロスバー直撃のヘディングシュート。一気に相手を飲み込もうとする。ただ、このまま終わらないのが青森山田だ。33分、左中間でボールを持った野口が鮮やかな足技で流経大柏DFを翻弄。バイタルエリアを打開すると、タイミングよく出されたスルーパスで抜け出した10番・丹代が難しい角度から、左足でのファインショットをゴールへ叩き込む。

 さらに最前線に配置された160cmの“秘密兵器”FW田中優勢(2年)とFW中田稜大(3年)の交代出場コンビが反撃を加速させる。42分、青森山田は右スローインから、右サイドを馬力のある動きで切り崩した中田が中央へ折り返すと、田中がダイレクトでゴールへ沈めて1点差。山下と野口による組み立てによる攻撃から右MF小笠原学(3年)が飛び出してくるなど流れは青森山田に傾いた。一方の流経大柏は決定機をつくりながらも青森山田の好守の前に突き放すことができない。同点ゴールへの強い意志を見せる青森山田は試合終了間際にセットプレーからゴールへなだれ込もうとしたが、流経大柏も意地を見せて3-2のまま試合終了の笛。逃げ切った流経大柏が白星発進した。

 緊張のあった前半や、メンバー交代で選手が入れ替わったあとに内容が停滞した流経大柏だが、勝ち点3は離さなかった。今年はサイドまでボールを運んでも安易にクロスを放り込むのではなく、ワンツーやドリブルでもうひとつ打開してからゴールを奪う取り組みをしている。堅守・青森山田相手に戦ったこの日は簡単に打開することはできなかったものの、ワンツーを通してPAへ侵入するシーンもあった。相澤は「さすがにプレミアはレベル高いなと。でも、できなくはない。そこは楽しんで、いいイメージでやれば上手くいくと思うので、次もチャレンジしていければと思います」。今月2日に行った横浜FMユースとの練習試合を5-2で勝利するなど新チーム結成後、素晴らしい内容の試合を3度見せているという今年のチームに本田裕一郎監督も「あれがコンスタントに出れば。潜在能力はあるかもしれない」と期待する。相澤は「(最後は)危なかったですけど、『白星と引き分けでは(差が)大きいぞ』とみんなに伝えて、それでみんな集中力が戻り、白星で終われたことは大きい。でも、まだ内容的には全然ダメなんで、次は内容もこだわって勝っていければいい。やるからにはてっぺん目指して、向上心もって、チャンピオンになりたい」。昨年、高体連のチームとして初めてプレミアリーグで優勝した名門が視線の先にある大目標へ向けて、まずは一歩を踏み出した。

(取材・文 吉田太郎)
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