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[選手権予選]華麗なスタイル封印して勝利に徹した日本航空、延長戦で涙:山梨

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[11.1 全国高校選手権山梨県予選準決勝 日本航空高 1-2(延長)帝京三高 中銀スタ]

 2年ぶりの全国大会出場を目指した日本航空高は準決勝で力尽きた。今年は関東大会予選、全国高校総体予選でいずれも初戦敗退。「蝶のように舞い、蜂のように刺す」をスローガンに近年、華麗で強いサッカーを展開してきたが、今年は結果が出ずにもがき苦しんできた。

 昨年までのスタイルと変わらず、今年も正確にショートパスをつなぐ技術力と、近い位置に加えてひとつ奥にあるスペースも見逃さない判断力、そしてスペースを共有して1タッチ、2タッチのパスを3本、4本とつないで決定機をつくり出す連動性、切り替え速い守備で勝利を目指してきた。ただ怪我人が続出したこともあって結果を出せなかった強豪は、選手権では割り切って勝つためのサッカーを徹底。守備に重きを置いて相手のスペースを消し、カウンターで勝つことを目指した。

 準決勝では前半、敵陣PAまでボールを運ぶことのできない展開だったものの23分、ファーストチャンスをゴールへ結びつける。カウンターから左オープンスペースへボールを運び、ボールを受けたMF山室厳己(3年)が斜めに切れ込んでラストパス。DFのクリアミスに反応したFW堀田大雅(2年)が先制ゴールを押し込んだ。ここからは落ち着いた試合運び。GK吉田雅貴主将(3年)を中心とした守備陣がシンプルに相手の攻撃を跳ね返し、高い位置でボールがおさまれば、“日本航空らしい”連動性の高い攻撃も見せた。後半開始直後に同点に追いつかれ、再び押し込まれたものの、終盤にはいい形でボールを奪ってカウンターに移るシーンが何度もあった。ただ「技術がないから渡しちゃう。近場しか見えていない。(今年は)その奥を意識したプレーを落とし込めなかった」(仲田和正監督)というチームは技術、判断のミスでボールを失い、チャンスを逃してしまった。

 そして延長前半4分に不運な形で失点して惜敗。「スコア的には接戦のように見えたけれど、完敗。運も味方しなかった。それが力。運も実力だから」。指揮官は無念さを滲ませながら口にした。試合後、選手たちは悔しい思いを必死に抑えながら、毅然とした態度で表彰式に臨み、観衆、応援団に挨拶。初戦敗退の連続から這い上がってきた選手たちの、敗れながらも堂々とした姿が印象的だった。仲田監督が「負けてさらなる成長を、今年以上に目標を持ってやり続けるか」と期待した堀田ら先発した1、2年生は6人。彼らが来年、「航空サッカー」を磨き上げて再び全国に挑戦する。

[写真]前半23分、日本航空はFW堀田がこぼれ球を押し込んで先制

(取材・文 吉田太郎)
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