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[選手権予選]「3年間1点も取ったことがない」四日市中央工から3発!宇治山田商が初V!!:三重

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[11.15 全国高校選手権三重県予選決勝 宇治山田商高 3-1 四日市中央工高]

 第93回全国高校サッカー選手権三重県予選は、前年度全国4強の四日市中央工高が準決勝で三重高を下して決勝進出。主将のDF中田永一、U-17日本代表FW小林颯ら全国4強メンバーが多数残る陣容を誇るだけに、全国でも注目のチームである。これに対するは、準決勝で津工高を破っての勝ち残りとなった宇治山田商高である。

 下馬評では四中工優位と見られていたが、それも無理はない。「(就任してから)7年間1度も四中工に勝ったことがなかった」と江崎徹監督が苦笑を浮かべ、選手たちも「3年間、四中工には1点も取ったことがありません」(GK森田隆平)と述べるほど、全国屈指の伝統校との対戦成績は分が悪かった。特殊な戦術を駆使することなく、「オーソドックスに戦う」(江崎監督)ことを重んじるチームだけに、四中工相手に番狂わせを起こしにくかったということもあるのだろう。

 だが今回は違った。挑んだのは、真っ向勝負。「それがウチのサッカー」(江崎監督)と語る通り、引いて守るのではなく果敢にディフェンスラインを押し上げてコンパクトフィールドを形成。序盤から四中工は裏へのボールを多用してラインの押し下げを図ってきたが、「あれで下げてはいけない」(森田)と粘り強く対応してみせた。

 MF山田真南人、松本直也の両ボランチが献身的に攻撃の芽を摘み取り、両SBも相手のドリブラーに粘り強く対抗し、序盤の劣勢をしのぐ。すると18分、相手ディフェンスラインのミスを突いたFW西口亮城が抜け出す絶好機。いったんは防がれたものの、外に流れてからの折り返しをファーで待っていたFW羽山哲矢が決めて、見事に先制点を奪い取る。「ヘディングは得意じゃない」と笑うストライカーの一撃は、これまでひとつのゴールも取れていなかった相手だけにチームを勇気づけるには十分だった。

 この直後の19分、四中工のMF中根康貴が巧みなシュートを決めて同点に追い付くのだが、失点は織り込み済み。むしろ四中工と殴り合っていることへの好感触が優った。わずか5分後の24分には、折れない宇治山田商は再び西口のアシストから山田が決めて、勝ち越しに成功。このゴールによって心理面で完全に優位に立つこととなった。

「われわれはチャレンジャー。アイツらに失うものなんて何もないですよ。むしろ相手のほうがプレッシャーはあったと思う」と江崎監督が振り返り、「メンタル面の弱さが出てしまった」と四中工・樋口士郎監督が嘆いたように、この1点が両チームの心理にもたらした影響は甚大だった。中心選手と見込む小林とボランチの森島司も思うようなプレーができず、「あの二人があんなにミスをするようでは……」と伝統校の指揮官を嘆かせる展開になっていく。

 そしてトドメは後半開始早々の1分だった。奪ったボールを外に開き、これを受けたMF結城海太が怒濤の突破から高速クロスを送り込む。これに羽山が合わせて、3-1とリードを広げた。その後は四中工が選手交代を繰り返しながら攻勢を強め、宇治山田商もカウンターから何度か好機を作る流れとなるも、ゴールネットは揺れぬままにタイムアップ。宇治山田商が伝統校を下し、高校サッカー選手権初出場を決めた。

 内容的には四中工が自滅した感もあるが、シュート数で10対8と宇治山田商が上回っていることが象徴するように、単なる番狂わせではなかった。確かな地力を感じさせた新鋭校の全国での健闘を期待したい。

(取材・文 川端暁彦)

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