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[大学選手権]連覇を狙う大体大が風上の後半に逆襲、北陸大に逆転勝ち

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[12.11 大学選手権1回戦 大阪体育大3-1北陸大]

 第63回全日本大学サッカー選手権大会の2回戦は11日に関東各地で1回戦を行い、千葉県のゼットエーオリプリスタジアムの第2試合では、連覇を目指す大阪体育大(関西4)が3-1で北陸大(北信越1)を下して2回戦進出を決めた。2回戦では順天堂大(関東3)と対戦する。

 強い雨は試合前に収まったが、強風が厄介な試合だった。前半は互いにロングボールを蹴り合い、セカンドボールの奪い合いが続いた。押し込む時間が長かったのは大体大だが、先制点を奪ったのは、北陸大だった。前半15分、右中間でFW近藤教文(4年=桐生一高)からパスを受けたFW大澤敬(3年=浦和東高)がドリブルで運ぶと、思い切ったミドルシュートを豪快に突き刺してゴールネットを揺らした。

 北陸大は前半39分に相手GKのキックを中盤でカットした近藤がそのままドリブルで持ち込み、相手DFをかわしてシュートを放つなどチャンスを作り出した。風下でなかなか攻撃のリズムが作れない大体大は、左MF池上丈二(2年=青森山田高)が高いキープ力を発揮して、攻撃の起点作りに奮闘した。そして同43分、左サイドで得たFKから池上がゴール前へロングパスを送ると、右DF山口幸太(4年=四日市中央工高)がファーサイドから折り返す丁寧なヘディングシュートをたたき込んで同点とした。

 前半の終了間際、格上のチームによる同点弾は、後半の試合展開を大きく変える一発だった。大体大の主将を務めるMF山田貴文(4年=日章学園高)は「できれば前半に風上のエンドを取りたかったけど、コイントスで負けた。仕方がないので、前半は失点なしで我慢をしようと言っていたが、相手の良いシュートが入ってバタバタした。その中で前半に1点を取り返せたのが、ポイントだったと思う。正直、1点を取ったときに後半は風上に立てるので(攻めて)いけると思った」と話した。

 山田の言葉通り、後半は大体大がトップ下の大城信博(4年=奈良育英高)、同14分に投入されたMF中村優仁(4年=流通経済大柏高)のドリブルで相手の守備網を突破し、攻撃のペースを上げていった。後半17分、右サイドから押し込むと、山田のパスを受けた山口のクロスに、逆サイドからエースの澤上竜二(3年=飛龍高)が斜めに飛び込んでゴール。「最近、クロスからのシュートを練習しているので、入り方はうまくいった。ボールが腰の辺りに飛んできたので、適当に体に当てようと思ったら骨盤に当たって入った」(澤上)という一撃が決勝点となった。

 6分後には右CKから大城がヘディングシュートを決めてダメ押しの3点目。後半25分には大城がオーバーヘッドシュートを見せ、試合終了間際には中村のドリブル突破でPKを獲得するなど攻め立て、後半は相手のシュートを1本に抑え込む一方的な展開に持ち込んだ。しかし、先制点を奪われたり、最後のPKを澤上が外したりという反省点もあり、坂本康博監督は「今年のチームはムラがあり過ぎる。昨年は力があって勝てたけど、自分たちも同じようにできると勘違いしている。だから前期は勝てず、4年生は外したくらい。期待は、1年生。上級生がそれを覆す? そういうのが出てくればいいけどね」と渋い表情だった。

 大体大は、14日に町田市立陸上競技場で行われる2回戦で順天堂大と対戦する。主将の山田は「昨年ほどの力はないので、必死に食らいついていきたい」と謙虚に話し、エースの澤上は「前回大会で優勝できたのは、幸運もあった。1回戦は昨年も逆転勝ち。これで勢いに乗っていきたい」と意気込んだ。指揮官から酷評される上級生の意地と、下級生の勢いをチームの力に昇華できるかが、連覇への挑戦の鍵となりそうだ。

(取材・文 平野貴也)

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