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[選手権]山梨学院、PK戦“大どんでん返し”で3回戦へ!!

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[1.2 全国高校選手権2回戦 山梨学院高 0-0(PK7-6)岐阜工高 駒沢]

 スコアレスながらともにアグレッシブさが出た好試合は、9人目までもつれこんだPK戦を制した山梨学院大高(山梨)が岐阜工高(岐阜)を振り切り3回戦へ進出。1月3日、駒沢で前橋育英高(群馬)と対戦する。

 試合開始から両チームの豊富な運動量が際立った。素早い攻守の切り替えで次々と局面が変わる。山梨学院は身長188cmの長身FW原拓人(3年)をターゲットにボールを入れようとするが、堅守がウリの岐阜工もCBのDF杉山智哉(3年)とDF村瀬大地(3年)が体を張って応戦、自由にさせない。そして山梨学院も「うちはもともと、みんなでがんばって守備をするチーム」と吉永一明監督が言うように、安定した守備で岐阜工攻撃陣に隙を見せない。

 この試合前半のシュート数は山梨学院3、岐阜工1だったのに対し、後半は山梨学院10、岐阜工1。後半開始後、攻勢を強めたのは山梨学院だった。ボランチのMF大場祐樹(3年)もミドルシュートから岐阜工ゴールを狙う。セカンドボールを拾う回数、そして高い位置からのボール奪取のケースも増え出した山梨学院は、波状攻撃をしかける時間帯もあった。だが岐阜工は首尾一貫、自由にさせない。後半22分には立て続けに3本のシュートを浴びたが、全てDFがブロック。「この場面など、気持ちが入っていたと思う」(村瀬)というのが実感だろう。

 そして得点は動かないままにPK戦へ。ここにドラマがあった。後半押し気味だった勢いをいかしたい山梨学院だったが、3、4人目が立て続けに失敗。岐阜工は4人目が決めれば勝利。だが、止められた。それでも、5人目が決めればまだ勝利できる。しかし、5人目も外す。土壇場でタイに戻ったPK戦は9人目……、終止符は岐阜工のキックがゴールの枠を外れた瞬間に打たれた。

「PK戦はほぼ勝ったと思った。ああ、そう思ってしまったらダメなんだと。これまでに経験がないほどのどんでん返しでまだ心の整理がついていません」というのは岐阜工・清本勝政監督。「PK戦前に、80分のゲームは終わったがまだ試合は終わってないと言ったんです。0-0に満足せず、あとひと蹴りで終わるのだからそこまで集中しよう、と……」。

 このPK戦の間、両校のGKが頻繁に仲間のキッカーに声をかける姿が目に付いた。山梨学院のGK古屋俊樹(3年)は「夏のインターハイでも(3回戦の)東福岡高(福岡)戦でPKを決められずに負け、プリンスでも同様の経験をした。だから自信を持つためにPKの練習は積んできていたんです。だから『自信を持て、自信を持て』と言い続けました」。絶体絶命の4人目のキッカーのキックを止めたのも「味方が2本外してこれから自分の番だと。自分が3本連続で止められれば勝てるというメンタル状態でした。負ける気がしなかったというか。練習の成果が出ました」と強気を押し通した。

 岐阜工のGK大西裕之(3年)は「あがってしまう選手もいるし、落ち着いてリラックスして蹴ろうと声をかけました。特にあと1本決めれば勝てるという場面から2本連続で決められなかった後は、なおさら強調しました」という。自身、相手キッカーが蹴る前に一度高く跳んでポストを鳴らした。「ポストの音を聞くとキッカーが外すイメージを持つということがひとつ。もうひとつは自分は身長が低いんですが(170cm)、それでもここまで届くぞというアピールがひとつ」。ポストを鳴らすたび、スタンドの応援団も呼応して盛り上げる。いい雰囲気はできていたが……「うちが2本連続で決めきれなかったとき、集中力が切れてしまいました……」とうつむきがちに心境を吐露してくれた。

「運があった。首の皮一枚、選手らががんばってきたぶんつながった」(吉永監督)というように、十中八九、PK戦負けという状況から逆転した山梨学院。トーナメントを勝ち進めば進むほど、一度はギリギリの試合を経験するものだ。そしてギリギリの試合を超え、加速力をつけたチームは上位に進出するものだが――。山梨学院の3回戦のプレーに注目だ。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 伊藤亮)
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