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[MOM1308]前橋育英MF鈴木徳真(3年)_「誇れるキャプテンに」チーム救う後半45分の同点弾!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.10 全国高校選手権準決勝 流通経済大柏高 1-1(PK4-5)前橋育英高 埼玉]

 試合を決めることのできる選手であることは間違いない。ただ、普段はチームが勝つことだけを考えている。「自分のことは何も考えていない。勝利のためにチームを引っ張ること。自分はチームのために走って、守って、前線にボールを配球して、勝利のために貢献できる選手であること」。それを貫き、普段は試合を決める役割を他の選手に託し、自身は勝つために“黒子役”に徹して前橋育英高の勝利に貢献してきた。そのMF鈴木徳真主将(3年)が土壇場でチームを救うゴールを決めた。

 鈴木は前橋育英のポゼッションの中心として正確にボールを動かしながら、チャンスに繋がるパス出し。また要所でボールを奪い、168cmと小柄ながらも強いヘディングでも奮闘した。ただ、0-0で折り返した後半の27分に流通経済大柏高に先制点を献上。ここで黒子役に徹してきた鈴木のギアが切り替わる。「やり残すことはしない、と。前に上がりたいなという気持ち、決めたいなという気持ちがありました」という鈴木はチームのために自ら点を獲ることを目指していった。

 ただ、スコアは変わらず0-1のまま終盤を迎える。それでも諦めてはいなかった。45分、前橋育英は交代出場のMF小泉佳穂(3年)が左クロスを放り込むと、クリアボールをコントロールした鈴木が右足一閃。「浮き球の時点で『これはシュートしかない』と。トラップからシュートというイメージはできていました」という鈴木の右足シュートはDFの足を弾いてゴールへ吸い込まれた。「(コントロールする)スペースが開いていたので、そこを狙って。思い切って打ちました。『入れ』と思って打ったので、それが入って嬉しかったです。相手は見ていなくて、ゴールしかずっと見ていなかった」。ゴールを確認すると、チームメートの輪の中へ飛び込んで喜びを爆発させた。

 昨年は東京五輪世代の年代別代表チームでもキャプテンマークを巻いた。また13年にはU-17W杯日本代表、昨年はU-19日本代表を経験。世代を代表するMFだ。ただ実力があるだけではない。誰にも負けないような日々を積み重ねてきた。ともにU-17W杯で世界を経験してきた盟友・MF渡邊凌磨(3年)は鈴木について「今まで徳真がやってきたことを自分らは見ているので、そういう日常があったからこそ、こういう時に決めてくれる。きょうは本当に感謝しています」と感謝していた。鈴木は「当たり前のことを当たり前にやってきただけ」と言いつつも「誰よりもしっかりして、みんなが誇れるキャプテンになりたい。何をやってでもしっかりしているぞというキャプテンになりたいので、そういう形がこうなったのかなと思っています」と頬を緩ませた。チームメートも認める毎日を送ってきた鈴木のチームを救う一撃。前橋育英のキャプテンマークを巻いて戦う試合も残り1試合となった。黒子役、試合を決める存在、リーダーはどんな形でもチームを優勝へ導く。

(取材・文 吉田太郎)
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