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「原点回帰」の水戸啓明、18年ぶりに茨城新人戦を制す!

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[1.24 茨城県新人大会決勝 水戸啓明高 5-1 古河一高 鹿島ハイツ2]

 平成26年度茨城県高校サッカー新人大会は24日、準決勝と決勝を行い、決勝で古河一高を5-1で破った水戸啓明高が、18年ぶり2回目となる優勝を果たした。

 連覇を狙った昨秋の高校選手権予選は準々決勝で第一学院高に1-5で敗退。水戸啓明の新チームは「原点回帰」を掲げてスタートを切った。元浦和MFの巻田清一監督は「自分はある程度の手ごたえを感じながら来た中での敗戦だったので、改めて基本に振り返ろうと。今年のチームのスローガンは原点回帰。プレッシャーとか、疲れてきた時とか、劣勢とか、そういったところでのプレーの仕方をしっかりと選手含めて話して、精神的なところでもう一回強いチームをつくっていこうということを目指しています」と語り、主将のMF坂本信光(2年)は「サッカーの原点は楽しくてサッカーを始めた人が多いと思うので、雰囲気悪くなったりした時に、楽しんでいいサッカーできるかということを日ごろから意識してみんなで声がけしています」と説明する。肝心なところで戦い切る、そして楽しむことのできるチームへ。その水戸啓明が「粘るということは良くやっていた。耐えて勝つということができたね」と指揮官も目を細める戦いぶりで、水戸短大附高時代の97年以来となる新人戦制覇を果たした。

 拮抗した前半、より会場を沸かせていたのは古河一の方だった。決勝の2時間前に終了した準決勝で永岡覚監督から「甘さ」を指摘された選手たちは気迫溢れる戦いぶり。10番のMF中村玲央(2年)を累積警告による出場停止で欠いていたものの、MF中山元稀とMF石川恵吾(ともに1年)のボランチコンビが前線とのパス交換からPAへと割って入り、元CBの大型FW宇都木智也(1年)も球際で奮闘。2分には石川の右足FKが左ポストを叩き、12分にはスピードに乗ったドリブルで左サイドからゴールへ迫ったMF鈴木大樹(2年)の右足シュートが右ポストを直撃する。

 ただ、主導権を握られた時間帯を我慢強く守り、幅を使った攻撃で徐々にペースを握った水戸啓明は28分、今大会台頭した右SB鯉渕一樹(1年)が左足で出したフィードにタイミング良く抜け出したMF西尾翼(2年)が右足でゴールへ押し込んで先制点を奪う。直後、古河一もPAで強引に持ち込んだ宇都木が左足シュートを放ったが、ボールはゴール左へ外れた。逆に右サイドから切れ込む鯉渕の突破や、MF宇佐見捺生(1年)のポスト直撃ミドルなどで攻め返した水戸啓明は38分、インターセプトしたCB宮野光平(2年)が一気にドリブルで駆け上がって左前方へスルーパス。これを受けたFW鈴木聖矢(2年)が左足で2点目のゴールを奪った。

 水戸啓明は後半3分にも負傷欠場している左SB関根玲樹(2年)に代わって先発した森島幹太(1年)が西尾とのコンビで左サイドを攻略。一段階深く、ゴールエリアまで切れ込んで出したラストパスを交代出場のFW渡邊翔哉(1年)が右足で叩く。この決定機はシュートが枠を外れたものの、直後に左サイドで1対1を強引に制した渡邊が今度は難しいシュートをねじ込んで3-0と突き放した。

 ただ、心折れた様子を見せない古河一はすぐに反撃。9分、DF鈴木智輝(2年)の右ロングスローからPA中央で仕掛けた中山がPKを獲得すると、中山が自ら右足で決めて2点差とする。だが、水戸啓明は15分、この日攻守で存在感放った坂本が右サイドで絶妙なスルーパス。抜け出した渡邊が中央へ折り返すと、ニアサイドに詰めたFW中村優太(1年)が4点目を奪った。さらに26分にも渡邊のスルーパスでGKと1対1となった10番FW木村秀人(2年)がGKを右側からかわして5-1。古河一も宇都木のパンチのある右足ミドルやFW針谷暢伸(2年)のシュートなどで反撃したが、集中力を切らさなかった水戸啓明が快勝を収めた。

 水戸啓明の巻田監督は「理屈だけで解釈すると、ゲームコントロールも含めて理想通りにできている訳ではない。頑張った結果がそこ(優勝)に結びついたかな。僕の物差しよりは思ったよりも頑張れるんだなとか、集中切れないんだなとか。いい意味で期待を裏切ってくれたと思います」と微笑んだ。坂本も「いつも以上に一人ひとりが声出してできたので、誰ひとり集中力を切らさずにできたと思います」と優勝を喜んだが、満足はしていない。巻田監督は「肝心なのはこの先。努力を惜しんでしまったら、あっという間に抜かれてしまう。声掛けをしながら、まだ、まだ、まだと先をつくっていかなければいけない」。1年間、頂点の座を譲らないために、ライバルたち以上の日々を送る。

[写真]後半26分、水戸啓明は木村(左)が準決勝に続くゴール

(取材・文 吉田太郎)

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