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王国復権へ、U-16静岡県選抜は「強さ」を求める

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[3.8 ヤングサッカーフェスティバルU-16の部 U-16静岡県選抜 1-3 U-16東京都選抜 エコパ]

 今年、21回目(単独チームを除く)の国体優勝を狙うU-16静岡県選抜はFW鈴木魁人(清水ジュニアユース)のゴールで先制したものの、守備の甘さやミスを突かれて逆転負け。清水商高時代、93年度の全国高校選手権決勝で決勝ゴールを決めて日本一を経験している鈴木伸幸監督(桐陽高)は「一歩寄せられるか、寄せられないか。一歩寄せられる時間帯は多分面白くできたんだけど、特に前半は寄せられなく、スペースができちゃって相手にやられた部分があった」と課題を口にした。

 今年の静岡選抜は強さを求める――。その姿勢は見えた。静岡の選手たちの技術は間違いなく全国トップレベルにある。だが、大分県と戦った昨年の国体初戦で試合を優勢に進めながら0-0からPK戦で敗れたように、どこか力強さに欠ける部分があった。その点、この試合では勝負どころでもう一段階ギアを上げることこそできなかったものの、「最初に位置づけとしては、とにかく勝ちに行く、内容とかそういうのではなくて、勝つという結果を求めて行く。そういうことがないと結局内容はついてこない」という指揮官の下、前へ、前への姿勢が出た試合ではあった。

 鈴木監督は「この子たちはさすがに上手い。(だが)上手い子たちに上手いことを望むよりも、上手い子たちには強いことを望んだ方がいいかなと。そうしたら上手さがもう一個活きる。選抜(の短い期間)で上手くなるというよりも、プライドだったり、闘うというところを染みつけられるか」。中軸として期待されるU-16日本代表MF吉田峻(清水ジュニアユース)やFW中野優太(清水ユース)、またこの日は不在だったJFAアカデミー福島の選手たちも加わるであろう今年も静岡の技術面は高い。それに要所で走ること、頑張ることのできる強さ、貪欲に勝利を掴み取るメンタリティーを加えて、史上初となった2年連続国体初戦敗退からの立て直し、そして4年ぶりの国体制覇を目指す。

 上手さや内容で上回ることに固執せず、失敗を恐れることなくチャレンジしていく。鈴木監督は「強さって何かと言ったら行けるか、行けないかだと思います。このレベルのゲームなんか全部そうだと思います。行った結果で失敗して、『今度どうする』ということは、ある程度のレベルの子たちだから修正できる。やるというところから始めないといけない」と語った。

 今春はドイツ遠征を予定。国体と同じく5日間連続で試合を組んで、タフさを磨く。遠征メンバーとその父母の前で「全部勝ちに行くと言った」という鈴木監督。「観て楽しく、強い静岡」復活へ、選手、スタッフ全員で取り組んでいく。

(取材・文 吉田太郎)

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