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[国体少年男子]注目カードで発揮した「埼玉スタイル」、埼玉県が静岡県との強豪対決制す!!

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[9.30 国体少年男子2回戦 埼玉県1-0静岡県 朝日サッカー場]

 30日、第68回国民体育大会「スポーツ祭東京2013」サッカー競技少年男子2回戦が行われ、最多23回優勝の静岡県と同4回(73年特別国体を含むと5回)優勝の埼玉県との注目対決は埼玉が1-0で勝利。東京都と対戦する準々決勝(10月1日)進出を決めた。

「ボールを良く動かし、簡単には、ノージャッジでは蹴らない。見て、判断してから攻める」と山崎稔監督(入間向陽高)が説明した「埼玉スタイル」。それを貫き、指揮官も「東京、神奈川相手にも一歩も引かない『埼玉スタイル』で戦えている。きょうもヒヤッとした場面はなかったと思います」と目を細める内容で強豪対決を制した。

 立ち上がりは静岡の勢いに押されたこともあり、ややシンプルなサッカーとなってしまっていた。静岡は前線で運動量を発揮するMF大石竜平(清水桜が丘高)やキレのあるドリブルで打開を試みるFW白鳥速巳(清水ユース)中心に攻め、MF津島孝至(磐田U-18)がチャンスを迎えたシーンもあったが、GK加藤有輝(大宮ユース)とCB東伸幸(浦和ユース)、CB朝妻佑斗(大宮ユース)を中心とした埼玉守備陣は高さと球際の強さを駆使して非常に堅い守りを披露する。

 一方、静岡は川口敬則監督(掛川工高)が「課題だった背後への対応はじめ守備は良く出来ていた。でも攻撃の部分を発揮できなかった」と語ったように、深澤優太郎(清水ユース)と小池佑(浜松開誠館高)の両CBを中心とした守りが安定していた一方、攻撃での迫力を出すことができない。互いに相手の堅守を打ち破る決定打を放てず、膠着した展開のまま時間が過ぎていった。

 その中で、埼玉は前半半ば頃から徐々にMF黒川淳史やMF川田拳登(ともに大宮ユース)を軸にボールを動かす本来のスタイルのサッカーを展開していく。昨年、中学年代の全国大会で2度決勝まで勝ち進んでいる大宮のポゼッションスタイルをベースに、もうひとつのJクラブである浦和の選手たちが個々の強さを加えている埼玉は慌てず、より失う可能性の低い位置へボールを動かしながら攻撃。ビッグチャンスまでにはなかなか至らなかったものの、ボールを支配して静岡への圧力を強めていく。

 対する静岡は後半15分に静岡学園高の点取り屋、FW加納澪を投入。直後に左クロスから加納がヘディングシュートを放つなど試合を動かそうとする。だが先制したのは埼玉。「セットプレーは絶対にポイントになると言っていた」と山崎監督が振り返ったように、FKから試合を動かした。後半21分、埼玉は川田が中央からのFKを絶妙なコントロールでPAへ入れると、「相手が少し身長が低いのは分かっていた。セットプレーで点を取れると思っていた」という左SB中塩大貴(浦和ユース)が180cmの長身を活かした先制のヘディングシュートをゴールヘ叩き込んだ。

 反撃を試みる静岡だが、「ボクらは守備がいいと言われている」と東が胸を張る埼玉は相手に攻略の糸口を掴ませない。逆にポゼッションで試合をコントロールした埼玉は終盤、187cmFW松澤彰(浦和ユース)がクロスバー直撃のヘディングシュートなど決定的なシュートを連発。守備陣も最後まで乱れず被シュートわずか5本で勝利した。

 目標は大会最終日の10月3日までサッカーをすること。もちろん、選手たちの頭のなかには優勝しかない。中塩は「前半の途中から自分たちのつなぐサッカーができたけれど、もっとレベルを上げないといけない。10月3日まで戦って最後まで勝ち続ける」。準々決勝の対戦相手は開催地の東京。再び迎える強敵との一戦を勝利して頂点への道を切り拓く。 

(取材・文 吉田太郎)
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