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[MOM1399]昌平DF関根一誠(3年)_ゲーム主将の「賭け」が生み出した決勝弾

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.14 全国高校総体埼玉県予選準々決勝 昌平高 1-0 早大本庄高 昌平高G]

 0-0のまま試合は最終盤に突入していた。プリンスリーグ関東勢の昌平高はアタッカー陣のシュート精度を欠いたこともあり、健闘する早大本庄高のゴールを割ることができない。だが、後半34分、意を決して攻め上がったCBが歓喜の瞬間をもたらす。

 最終ラインから縦パスを入れたCB関根一誠(3年)が「縦パス入れて走ったところで前にスペースがあった」とそのまま攻撃参加して一気に最前線まで抜け出す。そしてMF松本泰志、FW本間椋を経由してスペースへ出されたボールを受けた関根は、GKとの1対1から技ありの右足ループシュートをゴールへ流し込んだ。「意外と冷静に(GKが)見えたので、いいシュートが打てたと思います。遊びとかでもああいうシュートが打てていた」と満足げ。普段の試合では最前線まで駆け上がるようなことはないという。ボールを失えば、カウンターでひっくり返される危険性もあった。だが「実際あそこで行ったのは、時間帯的にも『賭け』でした」と見つけたスペースへ駆け上がった関根の勇気が決勝点をもたらした。

 藤島崇之監督から「彼がちゃんと見て、判断していたので良かったかなと思います」と讃えられた関根には3年生の意地もあった。1、2年生中心のチームの中でこの日先発した3年生はCB佐々木俊育と左SB梅木維皓、そして関根の3人だけだ。この日は3人の身体を張った守りも勝因となっていたが、関根には試合に出ることができない3年生や1、2年生のためにも戦わなければならないという想いがある。今大会からはゲームキャプテンとしてキャプテンマークも巻く関根は「DFライン3人3年なんで、自分たちが後ろからチームを引っ張らないと勝てないと思うのでこれからもやっていきたいです」と誓った。

 自身の決勝ゴールで全国まであと1勝。DFとして「無失点で来ている」ことには納得しているが、決めるべきところで決めなければこの日のように苦しくなることはわかっている。自らのゴールでチームに活を入れたCBは、準決勝で相手をゼロに封じながらアタッカー陣の爆発を待つ。

(取材・文 吉田太郎)
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