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[総体]冬に続き夏も初出場へ!昌平が早大本庄振り切り、全国王手!:埼玉

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[6.14 全国高校総体埼玉県予選準々決勝 昌平高 1-0 早大本庄高 昌平高G]

 平成27年度全国高校総体「2015 君が創る 近畿総体」サッカー競技埼玉県予選準々決勝が14日に行われ、プリンスリーグ関東勢の昌平高が1-0で早大本庄高を下した。埼玉県の代表枠は2。昌平は20日の準決勝で西武文理高に勝てば全国総体初出場が決まる。

 昨年、本格強化7年目で全国高校選手権初出場。今年はプリンスリーグ関東に初参戦してJクラブユース勢や強豪校との戦いで経験を積んでいる昌平が、夏の全国大会初出場に王手を懸けた。この日の先発は1、2年生が計8人。プリンスリーグで5得点をたたき出している2年生エース・MF松本泰志を除くと昨年から大きくメンバーが入れ代っている状況で、プリンスリーグは1勝5敗と苦しい戦いを強いられている。だが、5敗中4敗は1点差で山梨の名門・山梨学院高に逆転勝ち。関東トップレベルで強豪相手に健闘しているチームは今大会初戦、2戦目といずれも1-0というスコアだが、藤島崇之監督が「選手が伸びるためには非常にいい経験をさせてもらっている」というように、厳しい試合の中で経験値を高めて成長を遂げている。

 サイド攻撃からチャンスをつくる昌平は前半8分に右SB真辺庸介(2年)のパスからスペースを突いた右FW小池崚太(2年)がDFを外してラストパス。これをFW會澤唯斗(1年)が右足ダイレクトで合わせたが、早大本庄はGK笠原駿之介(3年)がファインセーブで逃れる。昌平は12分にも右サイドを起点とした攻撃から松本がPAでDFをかわしにかかり、最後は左FW本間椋(2年)がフィニッシュ。14分には「監督たちからは瞬間的なスピードを意識するように言われている」という小柄なドリブラー・本間がドリブルで早大本庄DFを翻弄して中央まで持ち込むと、最後は松本の左足シュートがポストをかすめた。

 序盤は個々で上回る昌平が主導権を握ったが、早大本庄はGKを交えたポゼッションから徐々にリズムを掴んでいく。そしてバイタルエリアで前を向くシーンを作り出した早大本庄は16分に混戦から左サイドを突破。決定的なラストパスが10番FW中島剣士郎(2年)に入ったが、シュートはGK正面を突いてしまう。早大本庄は攻め込まれる回数も多かったが、自分たちのスタイル、リズムを変えない。右サイドで対人の強さを見せるSB梶田悠己主将(3年)や的確なカバーリングでチームの危機を救う左SB岡本健利(3年)がピンチの芽を摘み、MF田原寛隆(3年)とMF高橋佑輔(3年)の両ボランチを経由したパスワークで攻め返した。

 昌平は後半立ち上がりにもチャンスを連発。だが、9分に松本の決定的な一撃がGK笠原に阻止されるなどリードを奪うことができない。また、やや綺麗に崩そうという意識が強すぎたか、タイミングを逸したシュートを早大本庄のDF陣にブロックされてしまう。すると、埼玉県3部リーグの下に位置する北部支部1部リーグ所属の好チーム・早大本庄は、後半にもプリンスリーグ勢に一刺しするチャンスをつくり出す。10分には右サイドを抜け出した中島の折り返しをMF上霜充人暉(3年)が右足で狙ったがシュートは昌平守備陣にストップされて決定機を活かすことができない。早大本庄は12分にもMF中澤周平(3年)のパスからターンして仕掛けた中島が左足シュートを打ち込んだが、GK緑川光希(1年)を破ることができない。

 だが、0-0で進む展開に早大本庄はベンチ、応援席含めて盛り上がりを見せる。勢いは早大本庄が上回る展開。一方の昌平はMF三森向陽(2年)とMF新垣理生(2年)が相手ボールに絡んで奪い返し、本間のドリブルやパスワークに繋げていたが1点が遠い。後半18分に松本の左クロスをファーサイドの交代出場MF針谷岳晃(2年)が右足で叩くがシュートはクロスバーを直撃。跳ね返りに反応した小池の右足シュートも枠を外れてしまう。25分にも松本がスルーパスで抜け出したが、PAから飛び出してきたGK笠原を交わすことができない。

 チャンスはつくっていただけに歯がゆい展開となった昌平だったが、それでも相手に得点を許さず。そして後半34分に待望の先制点を奪った。最終ラインからCB関根一誠(3年)が前線の松本へ縦パスを入れると、松本からパスを受けた本間が「自分で行きたいという気持ちもあったんですけど、自分で行ってカウンターとかは怖かったので、(関根)一誠先輩に出しました」と左前方へスルーパス。これに攻撃の起点となったCB関根が走り込む。GKとの1対1となった背番号2は右足で技ありのループシュート。「あの時間帯で『ここ行かなくっちゃ』と。賭けでした」というゲーム主将の一撃によって昌平がリードを奪った。早大本庄も終了間際にPA右外側でFKのチャンスを掴むなど反撃したが、1点を奪うことができず。昌平が苦しみながらも準決勝進出を決めた。

「厳しい戦いになることは想定していました」という昌平の藤島監督は「足元のかわしの技術とかだけでの勝負になっていた。シュートなんかも、DFに当てて入れるくらいの方がGKも嫌だと思う。フリーじゃないとシュートを打たない状況があるのでそういったところは課題にしながら積み重ねていければいい」。1、2年生中心のチームにとっては毎試合がいい経験。また3年生を含めた先発争いを1週間続けて全国を懸けた準決勝に臨む。本間は「プリンスとかでやっているので強いとみられているけれど、上からではなくチャレンジャー精神でしっかりいきたい」と語り、関根は「昌平はインハイ行ったことないので自分たちが出たいと思います」と誓った。若いチームが歴史を変えて、夏の全国でまた成長を遂げる。

[写真]鋭いドリブルで相手の脅威となった昌平FW本間

(取材・文 吉田太郎)
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