beacon

[ユニバ]最後は流血退場も…DF田上が“真骨頂”の一撃で日本へ勝利もたらす

このエントリーをはてなブックマークに追加

[7.9 ユニバ準々決勝 日本1-0フランス]

 ユニバーシアード男子サッカー競技準々決勝。フランスとの試合は白熱の攻防が続いていた。そして迎えた前半ロスタイム。GK福島春樹(専修大4年=静岡学園高)のロングキックをMF和泉竜司(明治大4年=市立船橋高)が競って得たFKの好機が訪れる。

 スコアは0-0。ゴール正面左寄り、20m超の距離。ボールに寄ったのは、左足のMF松下佳貴(阪南大4年=松山工高)と右足のDF田上大地(流通経済大4年=流通経済大柏高)。ただ、「(田上)大地が得意な角度だったし、あいつも『蹴らせてくれ』と言ってきたので」と松下が言うように、自然とキッカーは定まった。振り抜いた右足から放たれたボールは鋭く弧を描いてファーサイドの隅へ。見事な一撃が決まって、試合の均衡は崩れた。

 結局、この値千金の1点を守り切った日本がフランスを下し、4強進出。後半に入って数度あったチャンスも決め切れなかった結果であり、逆に言えば田上のゴールがなければ……と考えると、「ちょっと恐ろしい」(神川明彦監督)試合ともなった。それだけに、試合後の指揮官も「あのゴールは彼の真骨頂。得意なところだったと思うし、本当によく決めてくれた。今日は彼を讃えたい」と手放しで賛辞を贈っていた。

 もちろん、FKだけが見せ場だったわけではない。センターバックとしても体格的に優る相手に粘り強く対応。また縦パスの精度・判断が良く、特に相手が前に出てきていた時間帯は田上のパス出しが攻撃の起点となるシーンがしばしば見られた。最後の時間帯で相手のラフプレーにあって流血。負傷退場を余儀なくされてしまったが、今日の殊勲者として田上を挙げることに異論は出ないだろう。

 これで4強進出となったユニバーシアード男子日本代表は、またも中1日で準決勝に臨む。田上の出場はさすがに厳しそうだが、「もともと20人全員で戦うつもりでここに来た。田上の分もやってもらうだけ」と指揮官は明瞭に言い切った。田上が決勝でピッチに戻って来ることを期待しつつ、まずメダル獲得を懸けて準決勝の壁に挑む。

(取材・文 川端暁彦)

TOP