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[選手権予選]都市大塩尻が連覇に王手、監督の一喝で後半3発:長野

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[10.31 全国高校選手権長野県予選準決勝 東海大三高 0-3 都市大塩尻高 アルウィン]

 第94回全国高校サッカー選手権大会の長野県予選は31日にアルウィン(松本平広域公園総合球技場)で準決勝を行い、第2試合では連覇を狙う都市大塩尻高が3-0で東海大三高を下し、3年連続の決勝進出を決めた。都市大塩尻は昨年度も主力だった選手が多く在籍。前半は苦手としている東海大三に手を焼いたが、後半は3得点で実力を見せつけた。

 前半は、立ち上がりにいきなり決定機が訪れた。都市大塩尻のFW代田亮が抜け出しに成功し、GKと1対1となった。ところが「距離感が全然つかめなかった。ピッチに入ったら、ふわふわしてしまっていた」という状態で打ったシュートは、力なく相手GKの守備範囲に収まり、防がれた。26分には右からのクロスを相手GKがファンブルしたところを左MF鮎沢涼が詰めに行ったが、これも決め切ることができなかった。東海大三は相手の背後へのロングパスとサイドからのクロスを徹底。鮎沢涼が「つないで来る相手は大丈夫だけど、ああいうサッカーが苦手。(全勝で優勝した)リーグ戦でも東海三とだけは接戦になった」と話した通り、前半の途中からは1年生FW瀬戸匠海が攻守にわたって積極的なプレーを見せていた東海大三が押し返す気配も見受けられた。

 都市大塩尻は、押し気味にゲームを進めていたが、攻守両面で迫力を欠いた印象もあった。ハーフタイムには、控室で高橋裕之監督から雷を落とされた。「セカンドボールに対して委縮していたし、攻撃でも相手のカウンターを怖がってボールを動かせていなかった。準々決勝の(6得点で勝った)東海三の攻撃を見たら、確かに怖さはある。でも、そこに差し込んでいかないといけない。今までやってきたことが何もできていないじゃないかと、久々に怒った」と思い切りの良さを欠いた教え子たちを一喝した指揮官は、相手の守備が中央を固めていることを指摘。サイドを起点にして相手を引き出して中を突くように指示を出した。

 すると、後半の立ち上がり、2分に鮎沢涼が左に張り出すと、後方から左DF岡村和紀が距離を短縮して内側からオーバーラップ。ゲームメーカーの青島友輝が相手守備陣の遅れを逃さずに岡村へ縦パスを送ると、岡村は中央に生まれたエアポケットで待ち受けた右MF平林裕葉にワンタッチではたき、指示通りの鮮やかな崩しから平林がきっちりと先制ゴールを挙げた。東海大三が前半の出来に手ごたえを感じていただけに、試合の流れを大きく変える一撃となった。

 先制された東海大三は、4回戦の直前に左手を負傷して控えに回っていたエースの中島幹太を投入して反撃に転じようとしたが、都市大塩尻は早々に追加点も奪い取った。10分、右サイドで得たFKでゴール前の混戦からこぼれた浮き球を鮎沢涼が鮮やかなボレーでたたき込み、ネットを揺らした。さらに7分後、セットプレーの流れから右サイドを攻略すると、ラストパスを受けた代田がGKと1対1になり、シュートは防がれたが、DF有賀海都がスライディングでこぼれ球を押し込んで3点目を奪った。

 東海大三は23分に1年生GK湯澤佑太のロングフィードを左MF白鳥翔大が競り、こぼれ球を中島が狙ったが、ゴールの枠を捉えられなかった。都市大塩尻は終盤も攻め手を休めず、終了間際には青島のFKで抜け出した鮎沢涼が突破を仕掛け、こぼれ球を途中出場の大島武瑠が鋭いシュートを狙い、クロスバーをたたく場面も見られた。攻撃に人数をかける分、守備が手薄になる点が課題だったが、この試合で東海大三に打たれたシュートは、わずかに2本。終わってみれば文句なしの完封勝利で決勝へ駒を進めた。

 決勝戦は11月7日に同会場で行われ、都市大塩尻は初の決勝進出を果たした松本一高と対戦する。高橋監督は「相手は試合の組み立て方が上手く、ちょっと恐怖はある。少し作戦を立ててゲームメークをしたい。立ち上がりから20分の攻防が鍵になると思う」と慎重なコメントを残したが、間違いなく視界は良好だ。

(取材・文 平野貴也)
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