[10.31 全国高校選手権山梨県予選準決勝 帝京三高 3-1 東海大甲府高 中銀スタ]

　第94回全国高校サッカー選手権山梨県予選は10月31日に準決勝を行い、今夏の全国高校総体16強の帝京三高は東海大甲府高に3-1で快勝。帝京三は2年ぶりの全国大会出場を懸けて11月7日の決勝で山梨学院高と戦う。

　今年は新人戦、関東大会予選、総体予選と通じて無敗で県1部リーグでも首位。今年の山梨サッカーをリードしている存在の帝京三が全国へ王手を懸けた。全国総体で4得点をマークしているキープレーヤーのFW梅田至(3年)を足首の負傷で欠いているため、エースFW小山駿(3年)と10番FW加藤竜基(3年)の2トップで試合をスタートした帝京三は前半13分、右サイドで仕掛けたMF谷戸捺希(3年)がPAやや外側の位置でFKを獲得。これをキッカーのMF山元潤(3年)が左足で速いボールを入れると、ニアサイドの小山が頭でコースを変えて先制点を奪った。

　帝京三は相良和弘監督が「キックが当っていました」と説明した山元のセットプレーから2点目も奪う。22分、右サイドの同じような位置でFKを獲得すると、再び山元が鋭いボールを入れる。今度はニアサイドでCB山下直希(3年)が頭で合わせて2-0とした。「失点をいかに少なくして計算づいたサッカーをした中で攻撃をしていくか」(相良監督)と年間通して守備を構築してきた帝京三は、今年のトーナメント戦は全国大会、関東大会含めた20試合で一度も2失点していない。堅守・帝京三は前半の2得点で勝利に大きく近づいた。

　東海大甲府は最終ラインからポゼッションでボールを動かすが、ファーストDFをしっかりと決めてボールサイドに人数をかけて守る帝京三の前になかなかいい形での攻撃をすることができない。蹴らされたロングボールを跳ね返され、MF吉野巧人(3年)や谷戸に収められてしまうなど、攻撃の糸口を見出せないまま前半を終えてしまう。

　帝京三は右サイドからSB木村祥太郎主将(3年)が何度もスプリントし、PA近くではMF村上光樹(3年)や加藤が積極的な仕掛けからシュートを狙ってくる。そして奪われたボールをすぐに引っ掛けるなど東海大甲府に思うような反撃をさせなかった。それでも後半、東海大甲府は推進力のあるMF原田哲多(2年)、FW大久保涼太(2年)、MF内田遥(3年)を投入し、システムも3-4-3から4-4-2へ変更。交代選手たちの縦への動きが攻撃を活性化した。10分にはFW田中幸大(1年)の右クロスにMF根津圭佑(3年)が飛び込むなどサイド攻撃から反撃するが、帝京三も相手のカウンターを山下が2度3度と阻止するなど簡単にはクロスを上げさせず、中央も堅い。

　東海大甲府はGK深澤誠弥(3年)の好守もあって2点差のまま食い下がったが、帝京三は後半31分、カウンターから小山のスルーパスで抜けだしたFW泊谷翼(3年)がGKをかわして左足でゴール。交代出場のFWが決めたゴールで3点差へと突き放した。東海大甲府も35分、カウンターから左サイドでDFを剥がした内田がサイドを変え、これを受けた原田が迷わず右足を振りぬいて1点を返す。だが反撃もここまで。帝京三がこの日も2失点目をせずに決勝進出を決めた。

　帝京三は夏の全国総体で2勝し、3回戦で開催県第1代表の滝川二高(兵庫)と対戦。先制しながらも追いつかれると、9人目までもつれ込んだPK戦の末に敗れた。これまで選手権含めて全国16強5回。初の全国8強まであと一歩にまで迫りながら再び壁に跳ね返された。相良監督は「ちょっとずつ近づいて来ているけれど、ギリギリなところで勝てないのは戦術的なものなのか、メンタルなのか」。チームは山下が「もっと激しく練習から取り組むこと。パス繋いでくる相手、蹴ってくる相手でもどんな相手でも対応できるようになればいい」と説明したように壁を越えることを目指してトレーニングを積んできた。この冬にもう一度壁に挑戦して、乗り越えるために何が必要なのか経験、体感するためにもまずは全国に出なければならない。
　
　決勝の対戦相手は今年、関東大会予選で4-0、全国総体予選では5-0で快勝している山梨学院。「過去は関係ないよと言っています」と指揮官が語る中、主将の山下が「次はみんなも上手くいかないということは分かっている」と話すなど、戦力が充実しているライバル相手に同じようにいかないことは理解している。それでも、帝京三が三度ライバルを突破して全国舞台に立つ。

(取材・文　吉田太郎)

---

▼関連リンク
【特設】高校選手権2015
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ2015