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[MOM1621]鹿島ユースMF平戸太貴(3年)_司令塔が相手の司令塔封じ!全身全霊で役割全う

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[12.12 高円宮杯チャンピオンシップ 鹿島ユース 1-0 G大阪ユース 埼玉]

鹿島アントラーズユースの熊谷浩二監督が「そこが肝と言うかポイントになる」と振り返ったG大阪ユースのダブルボランチを封じるか、打開するかの攻防。鹿島はMF市丸瑞希に司令塔のMF平戸太貴、MF岩本和希にMF西本卓申をつけて、明確にその「ポイント」を封じ込みにいった。

 特に世代屈指のゲームメーカーでG大阪トップチーム昇格が決まっている市丸は危険人物。“遠藤2世”とも評されるMFは抜群の技術と視野の広さを駆使して中盤の底の位置でゲームをつくりながら、わずかな隙があればアイディアと精度で縦パスを通してくる。「前半立ち上がりとか、いつものようにプレッシャーかけていったら外されちゃって、変えなきゃダメだと思った」というように平戸もボールを奪いに行っていなされたシーンがある。だが、平戸は乾燥した芝によって、ボールが各選手の足下に深く入っていることを見逃さず、「スピードを変えてプレッシャーかけに行ったりして」市丸にいい形で前を向かせず、時にボールを引っ掛けて攻撃に移った。

 観察力の高さは彼の特長のひとつ。熊谷監督は以前、「その試合、その時間帯の中で凄く判断良くプレーしている」と平戸を評していたが、相手の表情、味方の状況などを見てプレーに変化をつけて、チームに流れを引き寄せることができる。この日は相手のボールコントロールを分析し自身の動きに変化をつけ、それを好守に繋げた。そして何より印象的だったのは「自分が絶対に止める」というオーラが体中から溢れていたこと。体ごと持っていくような非常に鋭いアプローチを浴びせるなどパワーをもった守備で市丸に最後まで得点に絡むような仕事をさせず、また、その鋭い動きがチームのスイッチにもなって、いい形の攻撃に繋げていた。

「市丸選手がキーになってくるのは分かっていて、あそこを潰さないと自由に展開されるし、縦パス入れられるし。あそこがガンバの起点になってやってくるんで。自分が上手くあそこをつぶしながら攻撃でも出て行って、自分が主導権を握れればと思っていた。(守備だけでなく)攻撃でも出て行って、そういう部分ではやれたと思います」。その高い技術によって試合を支配し、試合を決めるような役割もしてのけるMFだが、「いつも以上にボランチを捕まえに行った」とこの日は全身全霊で役割を全う。そして無失点勝利の立て役者となった。

 来年はトップチームに昇格。「トップ行ったらアントラーズの選手たちは何も言ってくれないと思う。しっかり自制心もってやらないとすぐに終わってしまう」。毎日のトレーニングに100パーセントの力で臨み、オフ・ザ・ピッチの大事さを鹿島ユースで学んだ。これまでやってきたことを妥協することなく続けて、トップでも欠かせない存在になる。

(取材・文 吉田太郎)
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