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[京都学生選手権]2年ぶり1部復帰の同志社大、京都産業大との前哨戦を制す

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[3.23 第66回京都学生選手権大会 同志社大 2-2(4PK3) 京都産業大 立命館大原谷G]

 京都府の大学年代No.1を決める第66回京都学生選手権大会は23日、準決勝を行い、同志社大京都産業大が対戦。互いに譲らず、勝負の行方はPK戦までもつれたが、京産大の5番手のキックをGK白岡ティモシィ(新2年=広島ユース)が防ぎ、同志社が2-2(PK4-3)で勝利した。26日の決勝戦では立命館大と対戦する。

 「僕たちは昨年まで2部。春の遠征でも1部のチームと当たる機会が少なかったので、この大会で関西1部の京産大と当たれるのはうれしい。これまで自分たちがやってきたことを試せる試合」。GK白岡ティモシィがそう口にしたように、2年ぶりに昇格する関西学生サッカー1部リーグの前哨戦として挑んだ同志社が接戦を制した。

 立ち上がりこそ京産大のスピードに戸惑ったが、「15分過ぎから相手の間が開いてきた所をうまく突きながらゲームができた」(望月慎之監督)とMF松井修平(新4年=桐光学園高)ら2列目のパスから好機を演出した。前半16分にはMF鶴﨑光(新4年=神戸U-18)がエリア左からシュート。ゴール前に入った所で、FW金潤求(新2年=近大附高)が触ってコースを変えたものの、わずかに左へ逸れてしまう。以降も好機は続き、25分には右CK付近で得たFKをDF渡邊良太郎(新3年=前橋育英高)が頭で叩き込み、試合を動かした。

 幸先の良いスタートを切った同志社だったが、後半を前に潮目が変わる。前半37分に投入した193cmのFW和田健太郎(新2年=G大阪ユース)を目がけてシンプルに縦を目指す戦いにシフトした京産大に苦戦。空中戦では競り勝つものの、「自分たちのところでセカンドボールを拾えなくなった。ボランチだけじゃなく、サイドの選手も拾えなくなり、相手に勢いを与えてしまった」(松井)。

 すると、後半3分にはMF松田岳(新3年=日章学園高)のパスを受けたMF前田悠斗(新4年=東山高)に華麗な一撃を決められ、試合は振り出しとなった。以降は一進一退の展開が続き、28分には左サイドを上がった京産大のDF木原豪(新3年=東山高)がPA左まで切れ込みシュートを狙ったが枠の右。41分には同志社ルーキーMF中川如哉(新1年=広島ユース)がPA右で対面するDFの股を抜いたパスを通し、FW奥野真也が反応したが、GK射庭康太朗(新3年=C大阪U-18)に防がれてしまう。

 1対1で迎えた延長戦も緊迫した展開が続いたが、延長前半7分には同志社に再び歓喜が訪れた。左サイドからのボールを受けた中川が右前方にパスを通すと、抜け出した奥野がシュート。GKが弾いたボールを中川が押し込み、2度目のリードを奪う。

 だが、歓喜の瞬間もつかの間、延長後半9分には再び京産大にチャンスが到来。カウンターからFWベハラノ・ナオキ(新1年=神戸弘陵高)が左サイドを突破し、ゴール前にパス。フリーで受けたMF園部凌平(新2年=G大阪ユース)のシュートがゴール右隅に決まり、PK戦までもつれた。PK戦でも互いに譲らず、同点のまま5人目のキッカーを迎えたが、後攻である京産大のキックを「朝起きて、PK戦になるかなと思っていた。良いイメージしか持っていなかった」という白岡が止めて勝負あり。2-2(4PK3)で勝利した同志社が決勝へと駒を進めた。

「リードされてから追い付いてPKで勝てば劇的だけど、リードを2回しながらも追い付かれたので物足りないというか勝負弱さを感じる。何とか勝ちには繋げたけど、もっとやらないといけない場面があった」。そう望月慎之監督が話したように課題が見えた同志社だが、試合途中に戦い方を変えてきた相手と張り合うなど、「色んな相手に対しての対応の仕方が春の遠征で身についてきた」と収穫もあった。

 特にプラスと言えるのが攻撃面。前回、1部リーグを経験した2014年度は1部リーグの速さと強さに苦しんだせいで、思ったようにボールが回せず最下位に。2部での仕切り直しを図った昨年は1年での再昇格を見据えて、1部でも通用する攻撃の整備を進めてきた。

 この日は主導権を握りながら、相手ゴール前まで進む場面も多く、松井は「プレッシャーが速くなるので、うまくポジションをとれればパスで崩せることが分かった。質とパスが高い時間は上手く攻撃ができたと思う」と話す。

 望月監督も「1部の強さと速さのあるDFに対抗できる、しっかりとしたボール回しが少しずつ浸透できている。今日はでもワンタッチでのボール回しで相手をひきつけながら、幅を使った攻撃ができた。そういう形のキレを増しながら、フィニッシュまで持っていきたい。リーグ戦でも上位6位以内を目指したい」と確かな手応えを掴んだようだ。

 対する京産大は、敗れはしたものの、「インカレに出るのが目標。落ち込まずに開幕戦での勝ちを目指す」(前田)と前を向く。昨年は9位で終わり、入れ替え戦も味わった。前田は「勝ちに拘るチームを今年は作っていきたい。内容よりも結果が大事。僕は負けず嫌いな性格。ラスト一年なので、最後は笑って終わりたい」と話し、仕切り直しを誓った。

(取材・文 森田将義)
●第94回関西学生リーグ特集

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