beacon

フル回転続く大島をいたわる憲剛「でも、それが代表選手の宿命」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[9.10 J1第2ステージ第11節 川崎F3-1福岡 等々力]

 気持ちが体を動かした。川崎フロンターレのMF大島僚太は後半アディショナルタイムに交代するまで全力でピッチを駆け回った。

「きつかった。常にボールが動いているし、常に自分が顔を出さないといけない。僕も(小林)悠さんも足をつっていた」。代表帰りの過密日程の中、FW小林悠とともに先発出場。コンディションは決して万全ではなかった。

 1日のW杯アジア最終予選・UAE戦に先発し、A代表デビュー。最終予選初戦という重要な一戦でいきなりの先発デビューとなったが、PKを与えるなど2失点に絡み、チームも1-2で敗れた。6日のタイ戦は右足首痛でベンチ外。それでも「痛いときは痛いけど、動けなくなるほどじゃなかった」と強行先発した。

「(大島)僚太は多少疲れがあったかな。ずっと気を張っている状態でやっているし、少し休ませてあげたいぐらい」。そんな“親心”を見せるのはMF中村憲剛だ。1月のリオデジャネイロ五輪アジア最終予選に始まり、6月のキリン杯でA代表に初招集され、夏にはリオ五輪に出場。さらにW杯アジア最終予選と続いた。クラブと五輪代表、そしてA代表。“三足のわらじ”が大島を心身ともにすり減らせてきたのは間違いない。

「いい意味でも悪い意味でも変わらない。あまりしゃべらないし。でも、自信がついて、責任感も出てきたと思う」。そう大島評を語る中村は「あまりにも世界が変わって、自分の中で整理するのに精一杯だと思う」と、劇的な環境の変化を指摘したうえで、「1月からずっと大きな離脱なくやってきているタフさは大したものだと思う」といたわる言葉も口にした。

「でも、それが代表選手の宿命。周りの目も厳しくなるし、プレッシャーにさらされることで、それが成長にもつながると思う」。この経験が大島をさらなる高みに導くか。それは大島自身にとっても川崎Fにとっても大きな意味をもたらすはずだ。

(取材・文 西山紘平)

●[J1]第2ステージ第11節 スコア速報

TOP