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[MOM1914]検見川MF平田祐志(3年)_怪我に苦しみ夏で引退も考えた主将が魂の決勝ヘッド!

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後半36分、検見川高MF平田主将(右)が決勝ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.10 全国高校選手権千葉県予選決勝T1回戦 検見川高 2-1 東海大浦安高 中央学院大つくし野総合G]

 後半26分、検見川高はPKを決められて同点に追いつかれた。主将のMF平田祐志(3年)は「追いつかれた時は流れ悪くて、飲まれているなというのもあった。ここで決めないと自分たちが負ける、終わっちゃうと思ったので、自分はキャプテンなので盛り上げて声出して点取りに行きました」。この日は前半から球際で強度の高いプレーを繰り返し、ヘディングで強さを発揮していた主将。決して攻撃面を武器とする選手ではないが、声を出してチームメートたちとともに次の1点を目指していった。

 後半36分、その平田が決勝点を決める。MF仁平大貴(3年)の左CKをファーサイドへ飛び込んだ平田がヘディングシュート。「(キッカーの仁平は)いつも練習後にCK練習したいということで、自分付き合っていて。蹴る時に今までの経験があって、『ここに来そうだな』というのがあった。回転とかもだいたい分かっていて、ここに行けば合わせてくれるなと。あとは頭で打てば入ると思っていた」。角度のほとんどない位置から放たれたヘディングシュートがニアのゴールネットを破り、勝ち越し点に。残り4分で決まったゴールは2回戦への進出を決定づけた一撃でもあり、また怪我に苦しんできた主将の努力が報われたゴールでもあった。

 平田は1年時に膝の半月板、昨年12月には後十字靭帯の負傷と2度の長期離脱を経験している。1回目の離脱後、復帰を急いで十分なリハビリを行わなかったことがその後のプレーに影響した。今年は腰の痛みも併発させてしまい、試合でのパフォーマンスは上がらず。ピッチで思い通りのプレーが表現できず、新チーム始動時に先発だったというMFの役割は控えとなった。

 総体予選でチームは準々決勝まで進出したが、流通経済大柏高に0-1で敗戦。この後、受験勉強に移行する3年生たちは全体の3分の2が引退を決断し、怪我に悩んできた平田自身も気持ちもそれに傾いていた。「辞めようかなと思っていたんですけど、コーチが『オマエ、キャプテンだし、悔しくないのか』と。出れなくても役に立つので残ろうと」。選手権までやり切る決断をしたMFは県リーグや選手権1次予選で主役になることはなかったものの、チームを支えてきた。

 この日、「今年初めて」公式戦で先発フル出場した平田。本来のレギュラーボランチが一週間前に負傷したことで訪れたチャンスだった。先発は今年3回目ほどだというが、「選手権でやりたいとずっと憧れていた。昔からの夢だったので(このことも理由に)サッカーを続けました」という主将は攻守に躍動。「(水庫)監督も最近、自分の事を調子いいとか言ってくれていたのでDF面でも攻撃面でも結果を残して勝ちたいなという気持ちがあった」と結果を求めて見事に主役として勝利に貢献した。決勝ゴールのシーンでは左手を突き上げて絶叫。笑顔のチームメートたちも苦しんできた主将のゴールが嬉しかったに違いない。

 2回戦へ向けて平田は「自分的には存在感があるようなプレーがしたい。これまで試合に出ていなかったので、次もスタメンで出られるか分からない。(先発でなくても)途中交代はあるかもしれないので、その時間で活躍できるようにしたい」。どのような起用法になるかは分からない。だが、この日チームを救った主将はどんな状況でも声を出し、ピッチに立てば、再び仲間たちを救うような活躍を見せる。

(取材・文 吉田太郎)
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