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[MOM417]関西大MF平尾柊人(4年)_“関大のジョーカー”、らしくない全国初ゴールが決勝点に

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決勝点を挙げた“ジョーカー”平尾

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.10 全日本大学選手権2回戦 関西大2-1鹿屋体育大 夢の島]

 関西大の“ジョーカー”が仕事を果たした。関西大は2戦連続の逆転勝利で全日本大学選手権(インカレ)8強入り。鹿屋体育大との2回戦で決勝点を挙げたのは、MF平尾柊人(4年=福知山高)だ。途中出場でゴールネットを揺らした。

 1回戦の東海学園大戦では、途中出場から3分後に反撃の狼煙となる1-1の同点弾をお膳立て。この日も初戦同様にベンチからのスタートとなり、チームの戦いを見守った。

 風下の前半は苦しい戦いを強いられ、前半22分に失点。1点を追う展開になる。それでも風上に立った後半7分に同点弾。MF清永丈瑠(4年=鹿島ユース)のCKが相手のオウンゴールを誘発し、試合は1-1の振り出しに戻された。

 ピッチサイドで見ていたMFは「前半は向かい風だったので、後半は絶対にチャンスがくると思っていました。しっかり耐えていけば、後半逆転できると。ベンチも絶対にいけるからと慌てていなかったです」と振り返る。

 そして後半24分に平尾の出番はやってきた。MF藤村洋太(3年=京都橘高)に代わり、ピッチへ入ると持ち味のスピードで仕掛けていった。すると後半39分、右サイドから仕掛けたエースFW竹下玲王(3年=磐田U-18)の折り返しはニアのFW加賀山泰毅(2年=JFAアカデミー福島)に合わなかったが、相手GKが弾いたボールに平尾が詰めていた。ゴール正面で冷静に右足シュート。ネットを揺らした。

 キャリア初となる全国舞台での得点。「ずっとイメージしてはいましたけど、取ったことがなかったので。実際に取ってみたら、現実なのかなという感じでしたね」とハニかんだMFは「めちゃくちゃ興奮して、頭が真っ白になる感じ。とりあえずスタンドに走っていこうと思いました」と破顔した。

 平尾の得点が決勝点となり、関西大は2-1の逆転勝利。全国8強入りを果たし、筑波大との2回戦へ駒を進めた。「監督の起用に応えようと思っていました」と語るMFは「サブが結果を残すというのは、チーム全体で勝ったというのが現れたなと実感しているので、すごく嬉しいです」と胸を張る。

 チームメイトたちも切り札として控えている平尾の存在が頼もしい様子。10番を背負う清永は「途中から入ってきて流れを変えられるし、足も速いし、特徴がある選手。相手もあまりわかっていないと思うので、そういう意味ではすごいジョーカー的な存在かなと思います」と仲間を誇った。

 「らしくない点です」と自らの得点を振り返り、「あまり得点を取らないタイプなので」と自嘲した平尾だったが、2試合連続途中出場でいずれもゴールにつながる結果を残し、チームを勝利に導いたのは紛れもない事実。先へ目を向けては「もっと試合に出たいという気持ちやチームに貢献したいという気持ちが強くなりますし、次の試合はもっと長く出たいと思います」と意気込む。

 選手としては先発で出たい気持ちはもちろんある。それでも4年生MFは、全てはチームのために、自らの役割を全うする気概だ。「やっぱり先発で出たいという気持ちはあります。でも今は途中交代を任されているので、そういう自分の役割を果たしたいという気持ちが大きいです」。“関大のジョーカー”は自らの仕事を完遂する。

(取材・文 片岡涼)
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