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FWとしての自覚と責任、決勝点の東福岡FW藤井「ここに立つ以上は義務を果たさないと」

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決勝点を決めた東福岡高FW藤井一輝

[1.2 全国高校選手権2回戦 東福岡高1-0東邦高 等々力]

 FWとしての責任を果たした。東福岡高は後半16分に左SB小田逸稀(3年)がエンドラインギリギリの位置から上げたクロスをFW藤井一輝(3年)が頭で叩き込んで決勝点。チームの初戦突破に貢献した。

 4-5-1システムのCFを務める藤井はこの日、前半25分に決定的なヘディングシュートを枠外へ外すなど、納得の行かないパフォーマンスだった。チームは0-0で前半を終了。苦戦は自分の責任だと感じていた。

 後半立ち上がりもスコアを動かせない状況にベンチが動く。12分、この1年、藤井とポジションを争ってきた快足FW佐藤凌我(3年)投入の準備。藤井は自身がピッチを去るのだと「思っていました」という。だが、森重潤也監督は藤井をピッチに残し、佐藤を右サイドに置いてチャンスの数を増やすことを選択。そして4分後、「そこで使い続けてくれた監督はじめスタッフの皆さんには感謝しています」と語る藤井が渾身ヘッドで東邦ゴールをこじ開けた。

 高い壁となっていた東邦DF陣の前に強引に入り込んでニアで合わせたヘディング弾。「身体で入れるくらいの気持ちでそれが良かった。相手が前に入ってきて、それより前に入っていかないと取れないと思ったので、後ろに引くよりは相手よりも前に身体を出してボールを触ることだけを意識していました」。FWとしての役割を果たした藤井は25分に交代して試合後もホッとした表情を見せていた。

 学業にも手を抜くことなく、部員300人超の東福岡のレギュラーを張りながら、毎日可能な限り勉強を行ってきた。そして指定校推薦によって難関・同志社大ヘの進学を決定。自身の学力を維持する目的で選手権後はセンター試験も受験するのだという。だが、勉強とサッカーの両立を目指してきたFWは今、仲間とともに最高の形で選手権を終えることだけを考えている。そのために必要なのは自身のゴールだ。

「FWとして点を決める仕事をしないとこのチームで試合に出る意味がないし、300人という部員を代表して出ているので。(応援の選手たちはシュートを)外した時も声出して自分を励ましてくれた。ここ(ピッチ)に立つ以上は出る義務を果たさないといけない」

 まだ1勝。「次は自分がもっと早い段階で点取ってチームを楽にできるようにしたい」と誓うFWが鹿児島城西高との3回戦でも必ずゴールを決める。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
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