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[ミズノカップ御殿場]公式戦さながらの熱い戦い。終盤に日本航空の迫力プレス剥がした野洲が頂点に

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野洲高がミズノカップ御殿場M-1リーグの頂点に

[8.24 ミズノカップ御殿場決勝 野洲高 2-1 日本航空高 時之栖うさぎ島G]

 全国の強豪24校が夏の鍛錬の場として心技体の成長を目指す「スポーツらぼFOOTBALL CAMP~ミズノカップ御殿場2017~」は24日、上位リーグのM-1リーグ決勝を行い、野洲高(滋賀)がFW片岡海斗(2年)の2ゴールによって日本航空高(山梨)に2-1で勝利。8月14日まで開催されたミズノカップU18 in熊本2017(初芝橋本高と両校優勝)に続き、ミズノカップ2冠を達成した。

 野洲の山本佳司総監督は「がっつり来てくれる。いい練習になった」と振り返っていた。日本航空との決勝は序盤から公式戦さながらの熱い戦いに。野洲の選手たちは球際で非常に激しいチェックを見せる日本航空のディフェンスを避けるように軽いプレーをしてしまうシーンもあった。
 
 指揮官も「まだまだ戦えないヤツがいる」と指摘していたが、それでも日本航空に何度もゴールを破られそうになりながらもGK上田貴章やDF陣がシュートブロックを見せるなどしぶとくゴールを守り続けた。そして2017年度版の“野洲スタイル”と言える長短のパスを交えた崩しでゴールを狙った野洲は、後半残り3分から激しくスコアが動いたファイナルを2-1で勝利。誰より戦い、巧さも見せつけて大会MVPに選出された主将のMF江口稜馬(3年)は「良い自信になったらいい。全国優勝目指して。このサッカーを証明したい」と力を込めた。

 準決勝終了からわずか1時間半後に決勝が行われたこともあって、日本航空は中盤、前線のメンバーを入れ替えて決勝に挑戦。下級生の多い陣容となったが、前線からの連動したディフェンスの中で1年生MF徳永大成らが球際で奮闘し、また最終ラインもチャレンジ&カバーを徹底して簡単にはチャンスを作らせない。そしてボールを奪うと3人の連動した動きで相手DFの背後を取ろうとする。

 野洲は左サイドでのパスワークから逆サイドのスペースを活用。FW梅崎彪(3年)の突破がチャンスを生み出していたほか、後半には相手の厳しいチェックに真っ向から立ち向かい、突破を繰り返していた江口やMF高取誠隆(3年)、左SB佐々木海人(3年)が巧みなボールさばきでDFを剥がして前進するなど、前半に比べて個々の仕掛けも光っていた。

 だが、より勢いのある攻守を見せていたのは日本航空の方。後半開始からMF中島偉吹(2年)、さらに10分の主力4人投入で攻撃の精度も高まった日本航空はMF米山永一郎(3年)、MF中尾大我(3年)が立て続けに決定機を迎える。さらに推進力ある動きを見せるFW師岡柊生(2年)の突破や中島のクロスバー直撃の右足FKなどで野洲ゴールを脅かす。

 だが、野洲の粘り強い守備もあって、決めきることができない。逆に個人技とコンビネーションの部分が噛み合うシーンを増やした野洲が先制点を奪う。後半32分、左サイドからショートパスを繋ぐと、最後はPAにこぼれたボールに反応した交代出場MF片岡が思い切りよくシュート。これがDFに当ってゴール右隅へ吸い込まれた。

 だが、日本航空は33分、右ロングスローから中央で競り勝つと、ファーサイドでフリーの新谷が左足で決めて同点ゴール。あっという間にスコアを振り出しに戻した。それでも野洲はアディショナルタイム突入後の36分、中盤で絶妙なターンを見せた高取が中央突破。一気にDFを置き去りにして前進すると、カバーに入ったDFを引きつけてラストパス。トラップでDFのタックルをかわした片岡が右足で決勝ゴールを決めた。

 山本総監督は攻撃の精度の部分やカウンターを食らっていた部分など改善点を指摘していたが、真夏の3日間で5試合を行う厳しい大会で、“野洲らしい”攻撃や、勝負強さを見せての優勝に笑顔も。特に後半は巧さだけでなく、江口が「高校サッカーはそこができないと勝てない。他のチームがやることもできた」と胸を張った戦う部分も示すなど、野洲にとって3年連続の選手権出場、そして目標の日本一へ向けて弾みをつける大会にもなった。

(取材・文 吉田太郎)

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