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[MOM2201]野洲MF江口稜馬(3年)_誰より戦い、魅せた注目レフティー。群抜く存在感でミズノカップ御殿場MVP!

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ミズノカップ御殿場MVPに選出された野洲高MF江口稜馬主将

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.24 ミズノカップ御殿場準決勝 野洲高 5-1 名東高 時之栖うさぎ島G]

 全国各地から集結した強豪24校が熱戦を繰り広げた「スポーツらぼFOOTBALL CAMP~ミズノカップ御殿場2017~」の大会MVPに、野洲高のMF江口稜馬主将(3年)が選出された。

 異論無しのMVPだ。準決勝では先制された直後の6分に相手DFの寄せが甘いと見るや、ボランチの位置からドリブルでスペースを突くドリブル、スルーパスでFW井野将真(3年)の同点ゴールをアシスト。さらに13分には、「走ってくれていると信じて出している。受け手に感謝したい」と振り返ったノールックでのサイドチェンジを右FW梅崎彪(3年)へ通して勝ち越し点を演出した。

 ショートパスを繋いで相手の守りを一方に寄せ、大きなサイドチェンジで味方の数的優位を作り出す。そしてテクニカルなドリブルで局面を一気に変えた。味方選手に厳しく要求しつつ、誰よりも戦っていた主将。準決勝の1時間半後に行われた決勝では日本航空高の球際激しいチェックの前に怯む選手もいる中、1対2でも相手に体をぶつけてキープ、前進するなど気迫溢れるプレーを連発していたことが印象的だった。

 身長160cm強と小柄だが、“セクシー軍団”野洲の主将は巧さ、判断の速さ、左足の精度、そして戦う姿勢でも際立つ存在感を放った。昨年度の選手権開幕戦でもそのテクニック、決定的なシュートで注目を集めたが、Jクラブの練習参加などを経て、より戦うことのできる選手に成長している印象だ。

 江口は「上に行くに連れてフィジカルも強くなってくる。(相手の)体を体入れるのは得意っちゃ得意です。デカさは関係ないです。(競り勝つ上で重要なことは)先触れる闘争心とか、ボールを奪われたくないというハートとか」と説明。この日は夏の遠征で破れたままのユニフォームパンツを着用していたが、運営本部で観戦していた他校の指導者が「破れているのが分かる。それだけ戦っている証拠」と唸るようなプレーを幾度も見せてチームを鼓舞し、優勝へ導いた。

 本人はよりレベルアップして選手権に臨むことを誓う。野洲は今回のミズノカップ予選リーグでインターハイ準優勝の日大藤沢高に2-1で勝利。だが、江口自身は「正直、心折られて。何もできなかったです」と振り返る。トップレベルの相手に対し、粘り強く戦い、勝つ個、チームになってきていることを感じた一方、全国上位相手に技術面でも違いを示すためには、もっと成長しなければならないと感じたようだ。

 数々の名選手を育ててきた山本佳司総監督は「広げるタイミングと精度をもっと上げて欲しい」と要求する。2年前の野洲にはMF林雄飛(現阪南大)、FW村上魁(現高知ユナイテッド)という全国トップクラスの名手がいた。「抜かしたい」という存在のレベルまで江口は自身を貪欲に高め、目標の選手権日本一、プロ入りを果たす。

(取材・文 吉田太郎)

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