beacon

[MOM476]国士舘大FW大石竜平(3年)_元磐田MFを父に持つサラブレッドが2戦連続ハットトリック

このエントリーをはてなブックマークに追加

FW大石竜平(3年=清水桜が丘高)の2戦連続ハットトリックが国士舘大の勢いをさらに加速させている

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.14 関東大学2部L第17節 国士舘大3-1神奈川大 古河サッカー場]

 FW大石竜平(3年=清水桜が丘高)の2戦連続ハットトリックが、1部復帰へ向けラストスパートに入っている国士舘大の勢いを加速させている。

 2戦連続ハットトリックは“たまたま”だという。「1点目はコースが見えていなかった。2点目のヘディングは苦手なんですが、目をつぶってしたんですけど、開けたら入ってました。3点目は触るだけだったので。前節もたまたま3点取っちゃって。今日もたまたまですね」。後期だけで8得点を記録し、得点ランキングで3位に浮上した絶好調男は、涼しい顔で快挙を振り返った。

 大石は元プロサッカー選手の父を持つサラブレッドだ。父はジュビロ磐田の創成期に活躍した大石隆夫氏。生まれる前に現役を引退したため、父親がプレーしている姿は知らないが、「背中を追い続けてきた」。しかし父は磐田の下部組織で指導者に転身、大石も磐田の下部組織に入団したが、師弟関係が結ばれることはなかった。中学3年生の時に父はユースの監督を務めていたが、直接、昇格がないことを告げられたという。

「親父は僕のサッカーに全く関わってこなかった。自分がジュビロに入ってからも、ほかの子供たちを教えるので精いっぱい。家に帰ってきてから一緒にボールを蹴るといったこともなかった。中学までしか家にいなかったですけど、親父は家で自分が見ている子供たちの映像を見たりとかしていた。唯一一緒に見たのはUEFAチャンピオンズリーグくらいですね」

 清水桜が丘高への進学も自分で決断。大学進学の際も、父親の母校ということはあったが、自分で練習参加などの調整を行った。「陰ながら応援してくれいるみたいですけど、僕にはそういう態度は一切出さない。でも僕は親父の背中を追ってきた。プレーも見たことないのですが、似ているとよく言われます」。

 昨年まで国士舘大で一緒にプレーした2つ上の兄は、大学卒業と同時にサッカーを辞めた。2つ下の弟はもともとサッカーをしておらず、大石家では次男の竜平のみが、父の後を追うJリーガーになる夢を追っている。

 さらにJリーガーになりたいという思いを強くさせる“ライバル”がいる。清水エスパルスでプレーするDF松原后は、ジュビロ磐田ジュニアユース時代の同期。高校では大石は清水桜が丘高、松原は浜松開誠館高に進学。ともにキャプテンを務めるなど刺激し合ってきた。今でも仲が良く、交流は続いているという。

「プロに行って(松原と)マッチアップしたい。そういうのを目標にやっていきたいですね。親父がスタッフに入っていたので、毎試合ジュビロの試合は見に行っていました。憧れは今でもあります。一番入りたいクラブです」

 大学ルーキーイヤーは1部リーグで3得点を奪って華々しくデビューした大石だが、昨季は無得点。チームも2部に降格するという挫折を味わった。今季も前期は右足首の怪我の影響で不調に終わったが、夏に完治させると、うっ憤を晴らすかのような大爆発を見せている。

「昇格は絶対条件。2部でいながら1部のレベルでというのが練習からの基準にしている。スピードとかも2部のレベルでやってしまうと、1部に復帰した時に結局、下位になってしまうと思う。そういうのを今年の初めに掲げて1部を視野に入れながら全部意識しながらというのをやっています」。意識は常に高く。今の爆発期は通過点でしかない。
(取材・文 児玉幸洋)
●第91回関東大学1部L特集

TOP